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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成15年雇用-第9問(労働保険事務組合)
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■平成15年雇用-第9問(労働保険事務組合)

労働保険事務組合(以下、本問においては「事務組合」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)法人でない団体については、団体の事業内容、構成員の範囲、その他団体の組織、運営方法等から団体性が明確でない場合であっても、都道府県労働局長の判断により事務組合としての認可を受けることができる。

(B)事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる事業主は、事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を有するものに限られる。

(C)事務組合に労働保険事務の処理を委託している継続事業の事業主は、概算保険料の申告・納付につき、その額のいかんを問わず延納することができ、その場合における納期限は、第1期から第3期までの各期において、事務組合に労働保険事務の処理を委託していない事業主と比較して14日遅く設定されている。

(D)事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主が、当該事務組合に対して確定保険料申告書を作成するための賃金等の報告をせず、その結果、当該事務組合が申告納期までに確定保険料申告書を提出できなかったため、政府が確定保険料額を認定決定し、追徴金を徴収する場合、当該事務組合は、その責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、その追徴金につき政府に対して納付の責めに任ずるものである。

(E)事務組合の認可を受けたときは法人でなかった団体が、その後法人となった場合であって、引き続いて事務組合としての業務を行おうとするときは、認可を受けた事務組合についての業務を廃止する旨の届を提出するとともに、あらためて認可申請をしなければならない。



■解説

(A)誤り
法33条、昭和62年3月10日発労徴13号
労働保険事務組合の認可を受けるためには、団体が法人であるか否かは問われないが、法人でない団体にあっては代表者の定めがあることのほか、団体の事業内容、構成員の範囲その他団体の組織、運営方法等が、定款、規約その他団体の基本となる規則において明確に定められ、団体性が明確であることを要するとされている。
よって、「団体性が明確でない場合であっても、都道府県労働局長の判断により事務組合としての認可を受けることができる」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
法33条、昭和62年3月10日発労徴13号
労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に隣接する都道府県に主たる事務所が所在する事業の事業主が全委託事業主の20%以内である場合は、その隣接する都道府県に主たる事務所が所在する事業の事業主であっても労働保険事務組合に労働保険事務の委託することが可能である。
よって、「事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を有するものに限られる」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法18条、則27条
労働保険事務組合に労働保険事務の委託をしている場合は、労働保険料の額を問わずに延納することが可能であり、その場合の納期限は、第1期(4月1日から7月31日)については、労働保険事務組合に労働保険事務の委託をした事業であるかどうかに関係なく5月20日となっている。
なお、第2期(8月1日から11月30日)の納期限は、委託していない事業が8月31日で委託した事業が9月14日、第3期(12月1日から翌年3月31日)の納期限は、委託していない事業が11月30日で委託した事業が12月14日となっており、労働保険事務組合に労働保険事務の委託をした事業のほうが14日遅く設定されている。
よって、「第1期から第3期までの各期において、事務組合に労働保険事務の処理を委託していない事業主と比較して14日遅く設定されている」とした問題文は誤りである。

(参考)
延納した場合の各期の納期限
各期 事務処理委託なし 事務処理委託あり
第1期(4月1日から7月31日) 5月20日 5月20日
第2期(8月1日から11月30日) 8月31日 9月14日
第3期(12月1日から翌年3月31日) 11月30日 12月14日

(D)誤り
法35条2項
労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとされている。
よって、問題文の場合は、労働保険事務組合の責めに帰すべき理由ではないので追徴金の納付義務はなく、問題文は誤りとなる。

(E)正解
法33条2項・3項
労働保険事務組合の認可を受けたときに法人でなかった団体が、その法人となった場合(その逆の場合も)であって、引き続き労働保険事務組合としての業務を行おうとするときは、旧労働保険事務組合についての業務を廃止する旨の届を提出するとともに、改めて認可申請をする必要がある。

  

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