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■平成18年雇用-第8問(労働保険料の納付手続)

労働保険料の手続(労働保険事務組合に委託した場合を除く。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)継続事業の概算保険料の申告・納付手続は、通常、保険年度ごとに、当該保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額に当該事業についての保険料率を乗じて算定した労働保険料を、概算保険料申告書に添えて、その保険年度の初日から20日以内に納付することとなる。

(B)継続事業における事業主は、その使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額が一定以上に増加した場合等増加概算保険料の納付の要件に該当した日から30日以内に増加概算保険料の申告・納付を行わなければならないが、有期事業である場合の納付期限は増加概算保険料の納付の要件に該当した日から50日以内である。

(C)納付すべき概算保険料の額が40万円以上である継続事業において、保険関係が6月8日に成立した場合は、その成立の日から7月31日までを最初の期として、当該納付すべき保険料の延納をすることができるが、2月10日に成立した場合は、当該年度の概算保険料は延納することができない。

(D)工事の全期間が1年間である有期事業に係る保険関係が6月8日に成立した場合で延納の要件を満たすときの概算保険料の納期限は、最初の期分が6月28日までであり、以後、12月1日から翌年3月31日までの期分が1月31日まで、その次の期分は3月31日までとなる。(一部改正)

(E)既に納付した概算保険料の額が申告した確定保険料の額を超える場合、事業主が充当の申出を行った場合は、次の保険年度の概算保険料又は未納の労働保険料その他労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「徴収法」という。)の規定による徴収金に充当され、充当の申出のない場合は超過額が還付される。


■解説

(A)誤り
法15条1項
継続事業の概算保険料の申告・納付手続は、通常、保険年度ごとに、当該保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額に当該事業についての保険料率を乗じて算定した労働保険料を、概算保険料申告書に添えて、その保険年度の6月1日から40日以内(保険年度の中途に保険関係が成立したときは、その翌日から50日以内)に納付することとされている。
よって、「保険年度の初日から20日以内に納付する」とした問題文は誤りである。
なお、有期事業の場合は、保険関係成立日の翌日から20日以内に納付することになっている。

(B)誤り
法16条、則25条1項
増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の保険料算定基礎額の見込額の100分の200を超え、かつ、増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上であるときは、継続事業であるか有期事業であるかにかかわらず、その日(概算保険料の増加が見込まれた日)から30日以内(翌日起算)に、増加後の見込額に基づく労働保険料の額と納付した労働保険料の額との差額を、所定の事項を記載した増加概算保険料申告書に添えて納付しなければならない。
よって、継続事業と有期事業について異なる増加概算保険料の納期限とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法18条、則27条1項
継続事業(一括有期事業を含む)の場合は、納付すべき概算保険料の額が40万円以上(労災保険又は雇用保険の一方のみ保険関係が成立している事業の場合は20万円以上)である場合は、概算保険料申告書の提出時に申請することにより、概算保険料を延納することができることになっている。
その場合の概算保険料の延納は、3期に分けて納付することができ、各期の期間及び納期限は次のとおりである。
1期(4月1日から7月31日)→納期限(7月10日)
2期(8月1日から11月30日)→納期限(10月31日)
3期(12月1日から翌年3月31日)→納期限(1月31日)
そして、年度の途中に保険関係が成立した場合、保険関係成立日が4月1日から5月31日までの場合は3回に分けて概算保険料を延納することができ、それぞれの納期限は、最初の期分(保険関係成立日から7月31日)の納期限(保険関係成立日の翌日から起算して50日以内)、第2の期分(8月1日から11月30日)の納期限(10月31日)、第3の期分(12月1日から翌年3月31日)の納期限(1月31日)となっており、保険関係成立日が6月1日から9月30日の場合は2回に分けて概算保険料を延納することができ、それぞれの納期限は、最初の期分(保険関係成立日から11月30日)の納期限(保険関係成立日の翌日から起算して50日以内)、第2の期分(12月1日から翌年3月31日)の納期限(1月31日)となっている。
しかし、保険関係成立日が10月1日以後の場合は延納することができないこととされている。
よって、保険関係が6月8日に成立した場合の最初の期は6月8日から11月30日までとなり、「その成立の日から7月31日までを最初の期」とした問題文はあやまりである。
なお、保険関係が2月10日に成立した場合は、延納することができず、その点は正解である。
※労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合は、第2の期分以降の納期限のうち、10月31日の納期限が11月14日、1月31日の納期限が2月14日となるので注意すること

(D)正解
法15条2項、法18条、則28条
事業の全期間が6か月を超える有期事業の場合、概算保険料額が75万円以上であるときは、概算保険料申告書の提出時に申請することにより、概算保険料を延納することができることになっている。
そして、その概算保険料を、その事業の全期間を通じて、毎年4月1日から7月31日まで、8月1日から11月30日まで及び12月1日から翌年3月31日までの各期(期の中途に保険関係が成立した事業については、保険関係成立の日からその日の属する期の末日までの期間が2月を超えるときは保険関係成立の日からその日の属する期の末日までを、2月以内のときは保険関係成立の日からその日の属する期の次の期の末日までを最初の期とする。)に分けて納付することができ、最初の期の納期限は保険関係成立日の翌日から起算して20日以内となっており、2期目以降の納期限は次のようになっている。
4月1日から7月31日→納期限(3月31日)
8月1日から11月30日→納期限(10月31日)
12月1日から翌年3月31日→納期限(1月31日)
よって、保険関係が6月8日に成立した場合は、最初の期が6月8日から11月30日となり、納期限は6月28日となる。
2期目以降は、12月1日から翌年3月31日の期分の納期限が10月31日 、4月1日から6月7日の期分の納期限が3月31日までとなり、問題文は正解である。
なお、有期事業については、継続事業の場合と異なり、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合でも、各期の納期限が同じである。

(E)誤り
法19条6項、則36条、則37条
事業主が、確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料の認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、それぞれ、すでに納付した概算保険料の額のうち、確定保険料の額を超える額の還付を請求したときは、所轄都道府県労働局資金前渡官吏が、その超過額を還付することになっている。
しかし、事業主からの還付請求がない場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官が、次の保険年度の概算保険料等に充当するものとされており、充当したときは、その旨を事業主に通知することになっている。
よって、充当を優先するとした問題文は誤りである。

  

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