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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成21年雇用-第8問(適用事業の一括)
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■平成21年雇用-第8問(適用事業の一括)

労働保険の保険料の徴収等に関する法律の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下において、「労働保険徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことであり、この問において、「労災保険」とは「労働者災害補償保険」のこと、「継続事業の一括の認可」とは労働保険徴収法第9条の規定による認可のこと、「指定事業」とは同条で定める厚生労働大臣が指定する事業のことである。

(A)継続事業の一括の認可を受けようとする事業主は、継続事業一括申請書を指定事業として指定を受けることを希望する事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。

(B)継続事業の一括の認可については、労災保険率表による事業の種類を同じくすることがその要件とされているが、雇用保険に係る保険関係が成立している二元適用事業の場合は、労災保険率表による事業の種類を同じくする必要はない。

(C)継続事業の一括の認可を受けた指定事業の事業主は、その指定事業の名称又は当該事業の行われる場所に変更があったときは、遅滞なく、継続被一括事業名称・所在地変更届を指定事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。

(D)継続事業の一括の認可を受けた指定事業の事業主は、労災保険及び雇用保険の受給に関する事務並びに雇用保険の被保険者に関する事務について、当該指定事業の所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長に対して一括して行うことができる。

(E)継続事業の一括の認可があったときは、当該二以上の事業に使用されるすべての労働者が指定事業に使用される労働者とみなされ、指定事業以外の事業の保険関係は消滅する。この場合、保険関係消滅申請書を提出することにより、労働保険料の確定精算の手続はすべて終了する。



■解説

(A)正解
法9条、則10条2項
継続事業の一括の認可を受けようとする事業主は、継続事業一括申請書を、継続事業の一括の規定による指定を受けることを希望する事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法9条、則10条1項
2以上の事業が次の要件を満たしている場合に、事業主が申請し、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に委任)を受けることにより保険関係を一括することができる。(継続事業の一括)
1.それぞれの事業主が同一であること
2.それぞれの事業が継続事業であること
3.それぞれの事業が次のいずれかであること
(1)労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業であること
(2)雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業であること
(3)一元適用事業であって労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業であること
4.それぞれの事業の労災保険率表による事業の種類が同じであること
よって、継続事業を一括するためには、雇用保険に係る保険関係が成立している二元適用事業の場合であっても、それぞれの事業の労災保険率表による事業の種類が同じである必要があり、「労災保険率表による事業の種類を同じくする必要はない」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法4条の2、則5条2項
継続事業の一括の認可を受けた指定事業の事業主は、その指定事業の名称又は当該事業の行われる場所に変更があったときは、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、名称、所在地等変更届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならないことになっている。
よって、「遅滞なく、継続被一括事業名称・所在地変更届を指定事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない」とした問題文は誤りである。
なお、指定事業以外の事業の名称又は当該事業の行われる場所に変更があったときは、遅滞なく、継続被一括事業名称・所在地変更届を、指定事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならないことになっている。(則10条4項)

(D)誤り
法9条
継続事業の一括の認可を受けた指定事業の事業主であっても、労災保険及び雇用保険の受給に関する事務並びに雇用保険の被保険者に関する事務については、ぞれぞれの事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長に対して行う必要がある。
継続事業の一括の規定が適用されるのは、労働保険徴収法に係る事務処理のみである。
よって、「指定事業の所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長に対して一括して行うことができる」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法9条、法19条
継続事業の一括の認可があったときは、当該認可に係る二以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業(指定事業)に使用される労働者とみなされ、指定事業以外の事業に係る保険関係は消滅するため、確定保険料申告書を提出し労働保険料の確定清算手続きを行う必要がある。
よって、「保険関係消滅申請書を提出することにより、労働保険料の確定精算の手続はすべて終了する」とした問題文は誤りとなる。
なお、「保険関係消滅申請書」は、暫定任意適用事業所が保険関係消滅の申請を行う場合に提出する書類である。

  

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