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トップページ > 過去問研究室(労働保険徴収法)> 平成25年雇用-第8問(労働保険事務組合) | |||||
■社会保険労務士試験過去問研究室 | |||||
労働保険事務組合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問において「委託事業主」とは、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主をいう。 (A)労働保険事務組合は、概算保険料の納期限が到来しているにもかかわらず、委託事業主が概算保険料の納付のための金銭を労働保険事務組合に交付しない場合、当該概算保険料を立て替えて納付しなければならない。 (B)公共職業安定所長が雇用保険法第9条第1項の規定による労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認をしたときの、委託事業主に対してする通知が、労働保険事務組合に対してなされたときは、当該通知は当該委託事業主に対してなされたものとみなされる。 (C)労働保険料の納付義務者である委託事業主に係る督促状を労働保険事務組合が受けたが、当該労働保険事務組合が当該委託事業主に対して督促があった旨の通知をしないため、当該委託事業主が督促状の指定期限までに納付できず、延滞金を徴収される場合、当該委託事業主のみが延滞金の納付の責任を負う。 (D)労働保険徴収法第19条第4項の規定により委託事業主に対してする認定決定の通知が労働保険事務組合に対してなされた場合、その通知の効果については、当該労働保険事務組合と当該委託事業主との間の委託契約の内容によっては当該委託事業主に及ばないことがある。 (E)政府は、委託事業主に使用されている者又は使用されていた者が、雇用保険の失業等給付を不正に受給した場合に、それが労働保険事務組合の虚偽の届出、報告又は証明によるものであっても、当該委託事業主に対し、不正に受給した者と当該委託事業主が連帯して、失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることとなり、当該労働保険事務組合に対してはその返還等を命ずることはできない。
(A)誤り 法35条1項 委託事業主が、労働保険料等の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとされている。その反面として、政府は原則として労働保険事務組合が交付を受けた金額の限度において、委託事業主に係る徴収金を労働保険事務組合からのみ徴収し得ることになる。 よって、「当該概算保険料を立て替えて納付しなければならない」とした問題文は誤りとなる。 (B)正解 法34条、平成12年3月31日発労徴31号 政府が、事務組合委託事業主に対してすべき労働保険料の納入の告知その他の通知等については、直接事業主に対してすることなく事務組合に対してすることができ、その場合における通知等の効果は当該事業主に及ぶものとされている。 このうち、事務組合に対してすることができる労働保険関係法令の規定による通知等の主たるものは次のとおりである。 (1)労働保険料及びこれに係る徴収金の納入の告知 (2)労働保険料及びこれに係る徴収金の納入以外の通知 (3)有期事業に係るメリット制の適用に伴い引き下げられた確定保険料額についての通知 (4)概算保険料の超過納付額及び有期事業に係るメリット制の適用に伴う確定保険料の超過納付額の他の労働保険料等への充当についての通知 (5)労働保険料等についての督促状による督促 (6)還付金の還付 (7)雇用保険の被保険者になったこと又は被保険者でなくなったことを確認した場合における公共職業安定所長の通知 (8)中小事業主等及び一人親方等についての労災保険の特別加入を承認した場合における都道府県労働局長の通知 よって、問題文は正解となる。 (C)誤り 法35条2項、平成12年3月31日発労徴31号 政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収につき事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度において事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずることになる。 事務組合の責任の有無については、事務組合事務処理規約等事務処理の方法に関する書類に定めるところを基礎として判断するものであるが、その徴収について事務組合に責任がある場合の具体的事例としては次のとおりである。 1.追徴金の納付責任 (1)事務組合事務処理規約等に規定する期限までに、確定保険料申告書を作成するための事実(前年度中に支払った賃金の総額等)を事業主が報告したにもかかわらず、事務組合が法の定める申告期限までに確定保険料申告書を提出しないため、政府が確定保険料の額を認定決定し、その納付すべき額の100分の10に相当する追徴金を徴収することとした場合 (2)その他事務組合の責めに帰すべき理由によって生じた追徴金を徴収することとした場合 2.延滞金の納付責任 (1)政府から各滞納事業主に係る督促状を受けた事務組合が、事務組合事務処理規約等の定めるところにより事業主に対し督促があった旨の通知をしないため、督促状の指定期限までに納付できず、延滞金を徴収される場合 (2)事務組合から督促状による督促があった旨の通知を受けた事業主が、事務組合事務処理規約等に規定する期限までに、労働保険料の納付のための金銭を事務組合に交付したにもかかわらず、事務組合が督促状の指定期限までに当該労働保険料を政府に納付しないために延滞金が徴収される場合 (3)その他事務組合の責めに帰すべき理由によって生じた延滞金を徴収することとした場合 以上の場合には、事務組合は「政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずる」ことになり、政府はその限度では、追徴金又は延滞金を当該事務組合からのみ徴収することになる。 よって、「当該委託事業主のみが延滞金の納付の責任を負う」とした問題文は誤りとなる。 なお、事務組合と委託事業主が共謀して保険料申告書に故意に事実と異なる記載をしたために徴収される追徴金等両者の責めに帰すべき追徴金又は延滞金の納付責任は、事務組合と委託事業主の連帯債務となる。 (D)誤り 法34条 政府が、事務組合委託事業主に対してすべき労働保険料の納入の告知その他の通知等については、直接事業主に対してすることなく事務組合に対してすることができ、その場合における通知等の効果は当該事業主に及ぶものとされている。 よって、「当該労働保険事務組合と当該委託事業主との間の委託契約の内容によっては当該委託事業主に及ばないことがある。」とした問題文は誤りとなる。 (E)誤り 法35条4項 労働保険事務組合は労災保険法第12条の3第2項等の規定の適用については、事業主とみなされる結果、労災保険の保険給付又は雇用保険の失業等給付について、委託事業主に使用されている者又は使用されていた者が不正受給を行った場合に、それが当該事務組合の虚偽の届出、報告又は証明によるものであるときは、当該事務組合に対して、当該不正受給者と連帯し、受給金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができることとなる。 よって、「当該労働保険事務組合に対してはその返還等を命ずることはできない。」とした問題文は誤りとなる。 |
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