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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成26年雇用-第8問(労働保険の適用)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年雇用-第8問(労働保険の適用)

労働保険の適用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)保険関係の成立している事業は、その事業の廃止又は終了の日の翌日に、その事業についての保険関係は法律上当然に消滅するが、例えば法人の場合、その法人が解散したからといって直ちにその事業が廃止されたことにはならず、特別の事情がない限りその清算結了の日の翌日に保険関係が消滅するとされている。

(B)労働保険徴収法は、労働保険の適用徴収の一元化を目的として制定されたものであるが、都道府県及び市町村の行う事業については、労災保険と雇用保険とで適用労働者の範囲が異なるため、両保険ごとに別個の事業とみなして同法を適用することとしている。

(C)国の行う事業(「国の直営事業」及び「労働基準法別表第1に掲げる事業を除く官公署の事業」)については、二元適用事業とはならない。

(D)継続事業の一括に関する厚生労働大臣の認可の要件の一つとして、「それぞれの事業が、事業の種類を同じくすること。」が挙げられているが、雇用保険に係る保険関係が成立している二元適用事業については、この要件を必要としない。

(E)継続事業の一括に関する厚生労働大臣の認可があったときは、労働保険徴収法の規定の適用については、当該認可にかかる二以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業に使用される労働者とみなされる。



■解説

(A)正解
法5条
保険関係の成立している事業は、適用事業であると暫定任意適用事業であるとを問わず、その事業の廃止又は終了の日の翌日に、その事業についての保険関係は法律上当然に消滅する。この場合、保険関係消滅のための手続は特に必要としないが、事業主は、保険関係が消滅した日を起算日として50日以内に確定保険料申告書を提出して、労働保険料の清算手続をとる必要がある。なお、事業の一時的休止(休業)は、ここにいう廃止ではないから保険関係は消滅しない。暫定任意適用事業については、事業の廃止又は終了によるほか、認可を受けて保険関係を消滅させることができる。
また、単に営業廃止の法律上の手続が完了したときとか、請負契約期間の満了したときをもって直ちに事業の廃止又は終了とみるべきでなく、現実にその事業の活動が停止され、その事業における労働関係が消滅したときをもって事業の廃止又は終了があったと解するべきである。したがって、例えば法人が解散したからといって、直ちにその事業が廃止されたことにはならず、特別の事情がない限りその清算結了の日の翌日に保険関係が消滅することになる。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法39条
労働保険徴収法は、従来の失業保険の適用及び保険料徴収の方式を労災保険の方式に合わせ、両保険の適用事務と保険料徴収事務を一本化して処理すること、すなわち労働保険の適用徴収の一元化を目的として制定されたものであるが、都道府県及び市町村の行う事業その他一定の業種に属する事業については、労災保険と失業保険とで適用労働者の範囲が異なること、あるいは事業の適用単位(ないし一般保険料徴収の単位)を統一しがたい実情にあること等両保険の適用について一律に処理しがたい実態があったため、適用徴収の一元化になじまないものであることに鑑み、労働保険徴収法の適用に当って特例を設け、両保険ごとに別個の事業とみなして労働保険徴収法を適用することとしたものである。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法39条
国の行う事業とは、「国の直営事業」及び「労働基準法別表第一に掲げる事業を除く官公署の事業」に相当するものであるが、事業そのものについて労災保険法の適用が除外されているから、当該事業に使用される労働者(つまり国の職員)については、労災保険法はすべて適用されず、また、雇用保険法の適用を受けるのは、雇用保険法第6条第7号に掲げる者以外の者である。
したがって、国の行う事業については、労災保険に係る保険関係について成立する余地がないため、二元適用事業にならない。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法9条、則10条
継続事業の一括は、事業主が同一である2以上の継続事業が次の(1)及び(2)の要件に該当する場合に行われることになっている。
(1)それぞれの事業が次の@からBまでのいずれか1つのみに該当するものであること
@労災保険に係る保険事業が成立している事業のうち二元適用事業
A雇用保険に係る保険事業が成立している事業のうち二元適用事業
B一元適用事業であって労災保険及び雇用保険の両保険に係る保険関係が成立しているもの
(2)それぞれの事業が「労災保険料率表」による「事業の種類」を同じくすること
なお、雇用保険に係る保険事業が成立している事業のうち二元適用事業についても、この要件を必要とする。
よって、「用保険に係る保険関係が成立している二元適用事業については、この要件を必要としない。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法39条
継続事業の一括についての厚生労働大臣の認可があったときは、労働保険徴収法の適用については、当該認可に係る2以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業に使用される労働者とみなされ、厚生労働大臣が指定する一の事業以外の事業に係る保険関係は消滅することになる。
よって、問題文は正解となる。
なお、「厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業」(指定事業)は、一括される事業のうち労働保険事務を的確に処理する事務能力を有すると認められるものに限られるため、申請人の希望する事業と必ずしも一致しない場合がある。
また、保険関係が指定事業に統合され一元化されるため、指定事業については事業規模が拡大されたことになり、通常は増加概算保険料の納付手続きを要することになる。一方、指定事業以外の事業については保険関係の消滅に伴う労働保険料の確定清算に関する手続が必要となる。労災保険のメリット制の適用は、指定事業について行われることになる。

  

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