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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 令和1年労災-第10問(労働保険の保険関係の成立及び消滅)
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■令和1年労災-第10問(労働保険の保険関係の成立及び消滅)

労働保険の保険関係の成立及び消滅に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもののうち雇用保険に係る保険関係のみが成立する事業は、保険関係成立届を所轄公共職業安定所長に提出することとなっている。

(イ)建設の事業に係る事業主は、労災保険に係る保険関係が成立するに至ったときは労災保険関係成立票を見やすい場所に掲げなければならないが、当該事業を一時的に休止するときは、当該労災保険関係成立票を見やすい場所から外さなければならない。

(ウ)労災保険暫定任意適用事業の事業主が、その事業に使用される労働者の同意を得ずに労災保険に任意加入の申請をした場合、当該申請は有効である。

(エ)労災保険に係る保険関係が成立している労災保険暫定任意適用事業の事業主が、労災保険に係る保険関係の消滅を申請する場合、保険関係消滅申請書に労働者の同意を得たことを証明することができる書類を添付する必要はない。

(オ)労働保険の保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、法令で定める事項を政府に届け出ることとなっているが、有期事業にあっては、事業の予定される期間も届出の事項に含まれる。

(A)(アとウ)
(B)(アとエ)
(C)(イとエ)
(D)(イとオ)
(E)(エとオ)



■解説

(ア)正解
法4条の2、則1条1項、則4条2項
次に該当する事業については、所轄公共職業安定所に保険関係成立届を提出することになっている。
(1)一元適用事業所であって労働保険事務組合に事務処理を委託するもの
(2)一元適用事業所であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもののうち雇用保険に係る保険関係のみが成立する事業
(3)雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業
よって、問題文は正解となる。
なお、次に該当する事業については、所轄労働基準監督署に提出することとされている。
(1)一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもの(雇用保険に係る保険関係のみが成立する事業を除く。)
(2)労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業

(イ)誤り
則77条
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票(様式第4号)を見やすい場所に掲げなければならないことになっている。一時的に休止する場合に取り外すことは規定されていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(ウ)正解
整備法5条1項
労災保険に任意加入しようとする任意適用事業の事業主は、「任意加入申請書」を所轄都道府県労働局長に提出し、厚生労働大臣の認可(厚生労働大臣の認可権限は都道府県労働局長に委任)があった日に、その事業について労災保険に係る保険関係が成立する。
よって、問題文は正解となる。
なお、事業主は、当該事業に使用される労働者の過半数(雇用保険の場合は「2分の1以上」とされ労災保険とは異なる。)が希望するときは任意加入の申請をしなければならないことになっている。

(エ)誤り
整備法8条、整備省令3条
労災保険暫定任意適用事業についての労災保険に係る保険関係の成立は、原則として事業主の保険加入の意思によることとされているので、これに対応してその消滅についても、原則として事業主の意思に委ねたものであるが、いったん任意加入により労災保険に係る保険関係が成立している事業については、当該保険関係が成立した後1年以上経過していることを保険関係の消滅の申請の要件としているほか、なるべく保険関係を継続されるため。その事業の労働者の過半数の同意を必要とすることとして、加入の場合よりも要件を加重している。この保険関係消滅の申請をするには、申請書にその事業に使用される労働者の過半数の同意を得たことを証明する書類を添えなければならず、保険関係の消滅の認可があったときには、保険関係の消滅に同意をしなかった者を含めて当該事業の労働者の全部について、労災保険に係る保険関係が消滅する。
よって、「保険関係消滅申請書に労働者の同意を得たことを証明することができる書類を添付する必要はない。」とした問題文は誤りとなる。

(オ)正解
法4条の2第1項、則4条1項
保険関係成立届は、労災保険の適用事業又は雇用保険の適用事業について保険関係が新たに成立した場合に、当該成立の日から10日以内に事業主が提出する届であり、この届により、政府は、当該事業についての保険関係の成立とその時期、事業の内容等をすみやかに確認し、労働保険料の徴収及び労働保険の保険給付の前提ないし基礎とするものである。
保険関係成立届による届出事項は、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所のほか、次の事項が規定されている。
(1)事業の名称
(2)事業の概要
(3)事業主の所在地
(4)事業に係る労働者数
(5)有期事業にあっては、事業の予定される期間
(6)建設の事業にあっては、当該事業に係る請負金額(消費税等相当額を除く)並びに発注者の氏名又は名称及び住所又は所在地
(7)立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量
(8)事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号
よって、問題文は正解となる。

※誤っているものの組合せは、(イ)と(エ)であるため、(C)が正解となる。

  

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