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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成16年労災-第9問(労災保険料率等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年労災-第9問(労災保険料率等)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労災保険率は、保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし、労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率並びに社会復帰促進等事業の種類及び内容を考慮して定められる。(一部改正)

(B)第2種特別加入保険料率及び第3種特別加入保険料率は、それぞれ、第2種特別加入者及び第3種特別加入者に係る保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならない。(一部改正)

(C)労災保険率は、政令で定めるところにより、厚生労働省令で定める事業の種類ごとに定められるが、最も高い労災保険率が最も低い労災保険率の25倍を超えないような枠組みが定められている。

(D)一般保険料の額は、原則として、賃金総額に保険料率を乗じて得た額であるが、労災保険に係る保険関係が成立している数次の請負による事業であって賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、請負金額に、事業の種類に応じ厚生労働省令で定める率(労務費率)を乗じて得た額が賃金総額とされる。

(E)一般保険料の額の算定の基礎となる賃金総額とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいうが、労働者が業務上の事由又は通勤による傷病の療養のため休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に定める育児休業又は介護休業をした期間について支払われた賃金は、賃金総額から除かれる。



■解説

(A)誤り
法12条2項
労災保険率は、労災保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし、政令で定めるところにより、労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率並びに二次健康診断等給付に要した費用の額、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定めるとされている。
よって、問題文は「二次健康診断等給付に要した費用の額」の記述が抜けているため誤りとなる。

(B)正解
法14条2項、法14条の2
第2種特別加入保険料率及び第3種特別加入保険料率は、それぞれ、第2種特別加入者及び第3種特別加入者に係る保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないとされている。

(C)誤り
法12条2項
労災保険率は、労災保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし、政令で定めるところにより、労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率並びに二次健康診断等給付に要した費用の額、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定めるとされているが、「最も高い労災保険率が最も低い労災保険率の25倍を超えないような枠組み」は定められていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法11条1項・3項、則12条1号、則13条1項、則別表第2
一般保険料の額は、原則として、賃金総額に一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とされているが、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、数次の請負による建設の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、原則として請負金額に則別表第2に掲げる率(労務費率)を乗じて得た額を賃金総額とすることになっている。
よって、「数次の請負による事業」(「建設の事業」と明記されていないため)とした問題文は誤りである。

(参考)
請負金額には、事業主が注文者その他の者からその事業に使用する物の支給を受け、又は機械器具等の貸与を受けた場合には、支給された物の価額に相当する額又は機械器具等の損料に相当する額を請負代金の額に加算する。
しかし、機械装置の組立又は据付の事業の場合は、機械の装置の支給を受けたとしても、その価額に相当する額を請負代金の額に加算せず、請負代金に機械装置の価額が含まれているときは、その価額に相当する額を請負代金の額から控除することになっている。

(E)誤り
法2条2項、法11条2項
賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く)をいい、賃金総額とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいう。
よって、「労働者が業務上の事由又は通勤による傷病の療養のため休業した期間及び育児休業又は介護休業をした期間について支払われた賃金」も賃金総額に含まれることになり、「賃金総額から除かれる」とした問題文は誤りである。
なお、労働者が業務災害により休業した場合に、労働基準法の災害補償の規定により休業補償が支払われたときは、その休業補償については賃金に含めないことになっている。
※法定の額(平均賃金の100分の60)を超える休業補償であっても、その部分を含めて支給された休業補償はすべて賃金には該当しない。(昭和25年12月27日基収3432号)

  

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