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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成18年労災-第9問(適用事業の一括)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成18年労災-第9問(適用事業の一括)

徴収法の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)事業主が同一人である場合には、業種が異なる二以上の部門が場所的に分かれて独立した運営が行われていても、常時使用される労働者の数が最も多い部門の業種に応ずる労災保険率が適用される。

(B)継続事業と有期事業を含む二以上の事業の事業主が同一人であり、かつ、厚生労働省令で定める規模以下の有期事業がいずれかの継続事業の全部又は一部と同時に行われる場合において、事業主が当該有期事業の保険関係を当該継続事業の保険関係と一の保険関係とすることについて申請をし、厚生労働大臣の認可があったときは、当該認可に係る事業に使用されるすべての労働者は、厚生労働大臣の指定する一の継続事業に使用されるものとみなされる。

(C)事業主が同一人である二以上の有期事業がそれぞれ他のいずれかの有期事業の全部又は一部と同時に行われ、かつ、それぞれの事業が厚生労働省令で定める要件に該当する場合には、徴収法の適用については、その全部が一の事業とみなされる。

(D)厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合において、労災保険の保険関係に関し当該事業を一の事業とすることについて元請負人の申出があったときは、その事業が一の事業とみなされ、当該元請負人のみが当該一の事業の事業主となる。

(E)数次の請負によって行われる事業が一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合においても、下請負人の申請に基づき厚生労働大臣が適当と認めたときは、元請負人の諾否にかかわらず、当該下請負に係る事業については、当該下請負人が元請負人とみなされる。



■解説

(A)誤り
法12条、昭和57年10月22日労働省発労徴第72号・基発第678号
労災保険率適用の基本原則として、個々の事業に対する労災保険率の適用については、事業の単位、その事業が属する事業の種類、その事業の種類に係る労災保険率の順に決定することとされており、労災保険において事業とは、労働者を使用して行われる活動をいい、工場、建設現場、商店等のように利潤を目的とする経済活動のみならず社会奉仕、宗教伝道等のごとく利潤を目的としない活動も含まれるとされている。
そして、一定の場所において、一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体は、原則として一の事業として取り扱うが、同一場所にあっても、その活動の場を明確に区分することができ、経理、人事、経営等業務上の指揮監督を異にする部門があって、活動組織上独立したものと認められる場合には、独立した事業として取り扱い、また、場所的に独立しているものであっても、出張所、支所、事務所等で労働者が少なく、組織的に直近の事業に対し独立性があるとは言い難いものについては、直近の事業に包括して全体を一の事業として取り扱うこととされている。
よって、業種が異なる二以上の部門が場所的に分かれて独立した運営が行われている場合は、部門ごとにその事業の種類に係る労災保険料率が適用されることになり、「常時使用される労働者の数が最も多い部門の業種に応ずる労災保険率が適用される」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
法7条、法9条
有期事業の一括は、それぞれの事業が有期事業である場合に行われ、継続事業の一括は、それぞれの事業が継続事業である場合に行われることになっている。
よって、継続事業と有期事業を含む二以上の事業の事業主が同一人であり、かつ、厚生労働省令で定める規模以下の有期事業がいずれかの継続事業の全部又は一部と同時に行われる場合であっても、有期事業と継続事業が一括されることはなく、問題文は誤りとなる。

(C)正解
法7条、則6条
2以上の事業が次の要件に該当する場合には、法律上当然に、その全部を1の事業とみなすことになっている。(有期事業の一括)
1.事業主が同一人であること
2.それぞれの事業が、事業の期間が予定される事業(有期事業)であること
3.それぞれの事業の規模が、次のすべての規模以下であること
(1)概算保険料の額が160万円未満であること
(2)建設の事業では、請負金額が1億9,000万円未満であり、立木の伐採の事業では、素材の見込生産量が1,000立方メートル未満であること
4.それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれること
5.それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業、又は、立木の伐採の事業であること
6.それぞれの事業が、事業の種類(労災保険率表に掲げる事業の種類をいう)を同じくすること。
7.それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所で取り扱われること
8.厚生労働大臣が指定する種類の事業(機械装置の組立て又は据付けの事業)以外の事業にあっては、それぞれの事業が、一括事務所の所在地を管轄する都道府県労働局の管轄区域又はこれと隣接する都道府県労働局の管轄区域(厚生労働大臣が指定する都道府県労働局の管轄区域を含む。)内で行われること
よって、問題文は正解である。

(D)誤り
法8条1項、則7条
労災保険に係る保険関係が成立している建設の事業が数次の請負によって行なわれる場合の労働保険徴収法の規定の適用については、原則として、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする請負事業の一括が法律上当然に行われることとされている。
よって、「元請負人の申出があったとき」に請負事業の一括が行われるとした問題文は誤りである。

(E)誤り
法8条2項、則8条
請負事業の一括が行われる場合であっても、下請負事業の請負金額が1億9,000万円以上であるとき、又は、概算保険料額が160万円以上であるときは、元請負人及び下請負人が共同で「下請負人を事業主とする認可申請書」を提出(保険関係の成立日の翌日から10日以内に労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出)し、その認可を受けることにより、下請負人をその請負に係る事業の事業主とすることができることになっている。
よって、認可申請書は、元請負人及び下請負人が共同で提出する必要があり「下請負人の申請に基づき」とした問題文は誤りである。

  

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