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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成19年労災-第9問(労働保険料の納付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成19年労災-第9問(労働保険料の納付)

次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、以下において、「労働保険徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことであり、「一般拠出金」とは「石綿による健康被害の救済に関する法律第35条第1項の規定により徴収される一般拠出金」のことである。


(A)政府は、保険年度の中途において、一般保険料率の引上げを行ったときは、概算保険料を追加徴収することとされているが、第1種特別加入保険料率、第2種特別加入保険料率及び第3種特別加入保険料率については、保険年度の中途での率の引上げが制度上予定されていないことから、概算保険料の追加徴収に関する規定は存在しない。

(B)事業主は、保険料算定基礎額の見込額が増加し、又は減少した場合において、増加後の見込額が増加前の見込額の100分の200を超え、又は減少後の見込額が減少前の見込額の100分の50未満となるときは、その日から30日以内に、増加後又は減少後の見込額に基づく概算保険料の額と納付した概算保険料の額との差額を納付しなければならず、又は当該差額について還付の請求をすることができる。

(C)事業主は、労働保険料を日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。以下同じ。)に納付することができるが、概算保険料申告書及び確定保険料申告書を日本銀行を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することはできない。

(D)政府は、保険年度の中途において、一般保険料率の引下げを行った場合において、当該引下げに相当する額の労働保険料が厚生労働省令の定める額を超える事業があるときは、当該事業の事業主の請求に基づき、その超える額を還付することができる。

(E)事業主が、確定保険料申告書を提出する際に、又は労働保険徴収法の規定により政府が決定した確定保険料の額の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、それぞれ、すでに納付した概算保険料の額のうち、確定保険料の額を超える額(以下「超過額」という。)の還付を請求しない場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、その超過額を未納の一般拠出金にも充当することができる。



■解説

(A)誤り
法17条1項
政府が、保険年度の中途に一般保険料率、第一種特別加入保険料率、第二種特別加入保険料率又は第三種特別加入保険料率の引上げを行ったときは、労働保険料が追加徴収されることになっている。
よって、「第1種特別加入保険料率、第2種特別加入保険料率及び第3種特別加入保険料率については、保険年度の中途での率の引上げが制度上予定されていないことから、概算保険料の追加徴収に関する規定は存在しない」とした問題文は誤りである。
なお、労働保険料を追加徴収しようとする場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、増加額及びその算定の基礎となる事項、納期限を事業主に通知しなければならないことになっている。(法17条2項、則26条)

(B)誤り
法16条、法附則5条、則25条、則附則4条
増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の保険料算定基礎額の見込額の100分の200を超え、かつ、増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上であるときは、継続事業であるか有期事業であるかにかかわらず、その日(概算保険料の増加が見込まれた日)から30日以内(翌日起算)に、増加後の見込額に基づく労働保険料の額と納付した労働保険料の額との差額を、所定の事項を記載した増加概算保険料申告書に添えて納付する必要がある。
しかしながら、保険料算定基礎額の見込額が減少したとき(減少率に関係なく)に、減少後の見込額に基づく概算保険料の額と納付した概算保険料との差額について還付する規定は設けられていない。
よって、「増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上」なければ、増加概算保険料を申告納付する必要がない要件を記述せず、また、「保険料算定基礎額の見込額が減少した場合に還付請求できる」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
則38条
概算保険料申告書、増加概算保険料申告書及び確定保険料申告書は、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないが、日本銀行を経由して 提出することも可能である。(確定保険料申告書は納付すべき確定保険料がある場合に限られている。)
よって、「日本銀行を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することはできない」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法17条
政府が、保険年度の中途に一般保険料率、第一種特別加入保険料率、第二種特別加入保険料率又は第三種特別加入保険料率の引上げを行ったときは、労働保険料が追加徴収されることになっている。
しかし、保険年度の中途に保険料率の引下げが行われたことにより、労働保険料の額が引下げられた場合でも労働保険料の還付は行われない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、保険料率の引下げが行われたことにより、事業主が納付した概算保険料の額が、確定保険料の額を超える場合、確定保険料申告書を提出する際に事業主が請求することにより、還付を受けることはできる。(法19条6項、則36条)

(E)正解
法19条4項・5項・6項、則36条、則37条
事業主が、確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料の認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、それぞれ、すでに納付した概算保険料の額のうち、確定保険料の額を超える額(超過額)の還付を請求したときは、所轄都道府県労働局資金前渡官吏が、その超過額を還付することになっている。
そして、事業主からの還付請求がない場合に、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、その超過額を次の保険年度の概算保険料、未納の労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金、未納の一般拠出金等に充当するものとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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