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■社会保険労務士試験過去問研究室 | |||||
一般保険料の額の算定に用いる賃金総額に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 (ア)平成26年6月になってベースアップが同年1月に遡って行われることが決まり、労働者ごとの1月から6月までの差額及びその支給が確定して6月に現実に支払われる場合の賃金は、賃金差額の支給が確定した日の属する年度(平成26年度)の賃金総額に含める。 (イ)慶弔見舞金は、就業規則に支給に関する規定があり、その規定に基づいて支払われたものであっても労働保険料の算定基礎となる賃金総額に含めない。 (ウ)雇用保険料その他社会保険料の労働者負担分を、事業主が、労働協約等の定めによって義務づけられて負担した場合、その負担額は賃金と解することとされており、労働保険料等の算定基礎となる賃金総額に含める。 (エ)労働基準法第76条の規定に基づく休業補償は、労働不能による賃金喪失に対する補償であり、労働の対償ではないので、労働保険料等の算定基礎となる賃金に含めない。また、休業補償の額が平均賃金の60パーセントを超えた場合についても、その超えた額を含めて労働保険料等の算定基礎となる賃金総額に含めない。 (オ)労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、業態の特殊性等の理由により賃金総額を原則どおり正確に算定することが困難な事業については、特例による賃金総額の算出が認められているが、その対象となる事業には、「請負による建設の事業」や「水産動植物の採捕又は養殖の事業」が含まれる。 (A)一つ (B)二つ (C)三つ (D)四つ (E)五つ
(ア)正解 法2条2項、法11条2項、昭和33年10月9日基収5571号の2 遡及してベースアップが行われたことによる賃金の差額については、賃金差額の支給が確定した日の属する年度の賃金総額に含めることとされている。 よって、問題文は正解となる。 (イ)正解 法2条2項、昭和25年2月16日基発127号 結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金など個人的、臨時的な吉凶禍福に対して支給されるものは、労働協約等によって事業主にその支給が義務づけられていても、これを賃金としては取り扱わないこととされている。 よって、問題文は正解となる。 なお、勤労者財産形成促進法に基づく勤労者の財産形成貯蓄を奨励援助するために、事業主が一定の率又は額の奨励金、財形給付金等を当該労働者に支払ったときは、その奨励金、財形給付金等は、事業主が労働者の福利増進のために負担するものと認められるから、これを賃金として取り扱わない。また、労働者が持家取得のため金融機関等から融資を受けた場合において、事業主が一定の率又は額の利子補給金等を当該労働者に支払ったときは、その利子補給金等も賃金としては取り扱わないこととされている。(昭和50年3月31日労徴発15号) (ウ)正解 法2条2項、昭和51年3月31日労徴発12号 事業主が社会保険料、所得税等の労働者負担分を労働協約等の定めによって義務づけられて負担した場合には、その負担額に相当する額は賃金と解される。この場合、保険料額の計算がきわめて煩瑣となる場合には、事業主から労働者が支給を受けた額及びその額に対して算定される社会保険料、所得税等の額をもって保険料の算定の基礎賃金とすれば足りることとされている。 よって、問題文は正解となる。 なお、従業員の退職後の生活保障や在職中の死亡保障を行うことを目的として事業主が従業員を被保険者として保険会社と生命保険等厚生保険の契約をし、会社が当該保険の保険料を全額負担した場合の当該保険料は、賃金とは認められない。(昭和30年3月31日基災収1239号) (エ)正解 法2条2項、昭和25年12月27日基収3432号 労働基準法76条の規定に基づく休業補償は、労務不能による賃金喪失に対する補償であり、労働の対償ではないので、賃金とは認められない。休業補償の額が平均賃金の60%を超えた場合についてもその超えた額を含めて賃金とは認められないこととされている。 よって、問題文は正解となる。 なお、健康保険法の規定に基づく傷病手当金は、健康保険の給付金であって賃金とは認められない。また、標準報酬日額の3分の2に相当する傷病手当金が支給された場合において、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付金は、恩恵的給付と認められる場合には賃金とは認められない。(昭和24年6月14日基災収3850号・昭和27年5月10日基収2244号) (オ)正解 法11条3項、則12条 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち請負による建設事業その他業態の特殊性からして、原則の方法により賃金総額を正確に算定することが困難な事業については、特例による賃金総額の算定の方法が認められている。 賃金総額の特例が認められる事業は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち次に掲げる事業で賃金総額を正確に算定することが困難なものに限られている。 (1)請負による建設の事業 (2)立木の伐採の事業 (3)立木の伐採の事業を除き、造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業 (4)水産動植物の採捕又は養殖の事業 よって、問題文は正解となる。 ※正解は、(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)であるため、(E)が正解となる。 |
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