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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成26年労災-第9問(請負事業の一括)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年労災-第9問(請負事業の一括)

請負事業の一括に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)立木の伐採の事業が数次の請負によって行われる場合には、労働保険徴収法の規定の適用については、それらの事業は一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる。

(B)機械器具製造業の事業が数次の請負によって行われる場合には、労働保険徴収法の規定の適用については、それらの事業は一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる。

(C)厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合において、労災保険の保険関係に関し当該事業を一の事業とすることについて元請負人の認可申請があり、厚生労働大臣の認可があったときは、労働保険徴収法の規定の適用については、それらの事業は一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる。

(D)労災保険の保険関係が成立している建設の事業が数次の請負によって行われる場合であって、労働保険徴収法の規定の適用については、元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合においても、雇用保険に係る保険関係については、元請負人のみが当該事業の事業主とされることなく、それぞれの事業ごとに労働保険徴収法が適用される。

(E)厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合であって、労働保険徴収法の規定の適用については、元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合においても、元請負人の諾否にかかわらず、下請負人の申請に基づき厚生労働大臣の認可を受けることによって、当該下請負人が元請負人とみなされる。



■解説

(A)誤り
法8条1項、則7条
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行われている場合は、法律上当然に、下請負事業を元請負事業に一括して元請負人のみを労働保険徴収法の適用上事業主として取り扱つかうこととされている。
よって、「立木の伐採の事業」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法8条1項、則7条
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行われている場合は、法律上当然に、下請負事業を元請負事業に一括して元請負人のみを労働保険徴収法の適用上事業主として取り扱つかうこととされている。
よって、「機械器具製造業の事業」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法8条1項、則7条
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行われている場合は、法律上当然に、下請負事業を元請負事業に一括して元請負人のみを労働保険徴収法の適用上事業主として取り扱つかうこととされている。
よって、「労災保険の保険関係に関し当該事業を一の事業とすることについて元請負人の認可申請があり、厚生労働大臣の認可があったとき」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法8条1項、則7条
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行われている場合は、法律上当然に、下請負事業を元請負事業に一括して元請負人のみを労働保険徴収法の適用上事業主として取り扱つかうこととされている。(請負事業の一括)
この請負事業の一括が行われるのは、「労災保険に係る保険関係が成立している事業」についてであり、「雇用保険に係る保険関係が成立している事業」については行われない。したがって、数次の請負による建設の事業であっても、雇用保険に係る保険関係については、元請負事業に一括することなく、他の一般の事業の場合と同様、請負関係の如何にかかわらず「事業」としての適用単位が決められ、それぞれの事業ごとに労働保険徴収法が適用されることとなる。雇用保険の場合には、従来から事業の適用単位、適用のしかた、したがって、保険料の納付義務者が労災保険とは異なっていた経緯があり、元請一括方式を雇用保険に係る保険関係に適用するのは、現状においては、保険料負担への影響、事務上の運用等についてなお慎重に検討すべき問題があるからである。(建設業を二元適用事業としたのもこのような理由によるものである。)
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法8条2項
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業が数次の請負によって行われている場合は、法律上当然に、下請負事業を元請負事業に一括して元請負人のみを労働保険徴収法の適用上事業主として取り扱い、一定の場合にのみ、下請負に係る事業を元請負事業から分離して、当該下請負人を事業主として取り扱うこととされている。
この下請負事業の分離は、元請負人及び下請負人が申請し、厚生労働大臣の認可があったときに、元請負人の請負に係る事業から下請負部分を分離し、独立の保険関係を成立させることをいう。
よって、「元請負人の諾否にかかわらず、下請負人の申請に基づき」とした問題文は誤りとなる。
なお、下請負事業分離の認可を受けようとするときは、元請負人及び下請負人が共同で、保険関係成立の日の翌日から起算して10日以内に、「下請負人を事業主とする認可申請書」を所轄労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出しなければならない。(則8条)

  

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