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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成26年労災-第10問(労災保険率等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年労災-第10問(労災保険率等)

労災保険率等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)個々の事業に対する労災保険率の適用は、事業主が同一人であって業種が異なる二以上の部門が場所的に分かれ、それぞれ独立した運営が行われている場合には、常時使用される労働者の数が最も多い部門の業種に応ずる労災保険率を適用する。

(B)雇用保険率は、労働保険徴収法第12条第4項において原則の料率が定められているが、毎会計年度において、雇用保険の財政状況に応じて一定範囲内において弾力的に変更ができる仕組みがとられ、平成31年度の雇用保険率は、一般の事業では、1,000分の11とされている。(一部改正)

(C)第1種特別加入保険料率は、特別加入の承認を受けた中小事業主等が行う事業に適用される労災保険率から、労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去3年間に発生した通勤災害に係る災害率を考慮して厚生労働大臣の定める率を減じた率とされている。

(D)第2種特別加入保険料率は、一人親方等の特別加入者に係る事業又は作業と同種若しくは類似の事業又は作業を行う事業についての業務災害及び通勤災害に係る災害率(一定の者に関しては、当該同種若しくは類似の事業又は当該同種若しくは類似の作業を行う事業についての業務災害に係る災害率)、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める。

(E)第3種特別加入保険料率は、海外派遣者が海外において従事している事業と同種又は類似の日本国内で行われている事業についての業務災害及び通勤災害に係る災害率、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定めるとされ、平成31年度の厚生労働大臣の定める率は、事業の種類にかかわらず一律に1,000分の5とされている。(一部改正)



■解説

(A)誤り
法3条、法4条
事業とは、一般に反復継続する意思をもって業として行われるものをいうが、労働保険徴収法(法3条、法4条)において「事業」とは、労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係の成立の単位としての事業、すなわち、一つの経営組織として独立性をもったもの、つまり、一定の場所において一定の組織のもとに有機的に相関連して行われる一体的な経営活動ないし作業(工場、建設現場、商店等のように利潤を目的とする経済活動のみならず社会奉仕、宗教伝導等のごとく利潤を目的としない活動も含まれる。)がこれに当る。
したがって、事業とは、経営上一体をなす本店、支店、工場等を総合した企業そのものを指すのではなく、個々の本店、工場、鉱山、事務所のように、一つの経営組織として独立性をもった経営体をいうことになる。
このことから、事業主が同一人であって業種が異なる二以上の部門が場所的に分かれ、それぞれ独立した運営が行われている場合は、それぞれの事業の業種に応じた労災保険料率が適用されることになる。
よって、「常時使用される労働者の数が最も多い部門の業種に応ずる労災保険率を適用する。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法12条4項・5項、平成31年3月4日厚生労働省告示第53号
雇用保険率は、法律で原則の料率が定められているが、毎会計年度において、雇用保険の財政状況に応じて一定範囲内において弾力的に変更ができる仕組みがとられている。
このように雇用保険料率の改正を、法律改正によらず、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴いて行い得ることとし、かつ、一定の場合における弾力条項を設けているのは、予想以上の大量失業が急激に発生し、財政が危機に瀕するごとき事態が生じた場合には、手続に日時を要する法律改正を待つことは適切でなく、また、料率改定の基準が法定されている以上、若干の幅の改定は行政に委ねることが事業運営上効率的であると考えられるからである。
平成31年度の雇用保険料率は、一般の事業では1000分の9(農林水産業・清酒製造業は1000分の11、建設の事業は1000分の12)とされている。
よって、「一般の事業では、1,000分の11」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法13条
第一種特別加入保険料は、労災保険に係る中小事業主等の特別加入者についての保険料であり、その額は、特別加入者各人の給付基礎日数に応じて定められた保険料算定基礎額の総額に、これらの者に係る事業に適用される労災保険料率(継続事業についてはメリット制の適用によって労災保険料率が引き上げ又は引き下げられたときは、その引き上げ又は引き下げられた率)と同一の率から労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去3年間の二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣の定める率を減じた率(第一種特別加入保険料率)を乗じて算定することとされている。
よって、「通勤災害に係る災害率を考慮して厚生労働大臣の定める率を減じた率」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法14条1項
第二種特別加入保険料率は、一人親方等の特別加入者に係る事業又は作業と同種若しくは類似の事業又は作業を行う事業についての業務災害及び通勤災害に係る災害率(これらの特別加入者のうち、通勤災害について労災保険の保護の対象とされていない者については、業務災害に係る災害率に限る。)、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定めるものであり、則別表第5「第二種特別加入保険料率表」に定められている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法14条の2第1項、則23条の3
第三種特別加入保険料率は、海外派遣者が海外において従事している事業と同種又は類似の日本国内で行われている事業についての業務災害及び通勤災害に係る災害率、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定めるものとされており、平成31年度の第三種特別加入保険料率は1000分の3とされている。

  

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