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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成29年労災-第10問(労働保険料の延納)
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■平成29年労災-第10問(労働保険料の延納)

労働保険料の延納に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

(ア)概算保険料17万円を3期に分けて納付する場合、第1期及び第2期の納付額は各56,667円、第3期の納付額は56,666円である。

(イ)延納できる要件を満たす有期事業(一括有期事業を除く。)の概算保険料については、平成29年6月15日に事業を開始し、翌年の6月5日に事業を終了する予定の場合、3期に分けて納付することができ、その場合の第1期の納期限は平成29年7月5日となる。

(ウ)継続事業(一括有期事業を含む。)の概算保険料については、平成29年10月1日に保険関係が成立したときは、その延納はできないので、平成29年11月20日までに当該概算保険料を納付しなければならない。

(エ)認定決定された概算保険料については延納をすることができるが、認定決定された増加概算保険料については延納することはできない。

(オ)労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている事業についての事業主は、納付すべき概算保険料の額が20万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、10万円)以上(当該保険年度において10月1日以降に保険関係が成立したものを除く。)となる場合であれば、労働保険徴収法に定める申請をすることにより、その概算保険料を延納することができる。

(A)(アとイ)
(B)(アとオ)
(C)(イとウ)
(D)(ウとエ)
(E)(エとオ)

■解説

(ア)誤り
則27条2項、昭和43年3月12日基発123号
概算保険料の額を期の数で除して得た額に1円未満の端数があるときは、第2期分及び第3期分の端数を第1期分の概算保険料額に加算することになっている。
問題文の事例の場合は、第1期分が56,668円、第2期分及び第3期分が56,666円の納付額となる。
よって、問題文は誤りとなる。

(イ)正解
法15条2項、法18条、則28条
事業の全期間が6か月を超える有期事業の場合、概算保険料額が75万円以上であるときは、概算保険料申告書の提出時に申請することにより、概算保険料を延納することができることになっている。
そして、その概算保険料を、その事業の全期間を通じて、毎年4月1日から7月31日まで、8月1日から11月30日まで及び12月1日から翌年3月31日までの各期(期の中途に保険関係が成立した事業については、保険関係成立の日からその日の属する期の末日までの期間が2月を超えるときは保険関係成立の日からその日の属する期の末日までを、2月以内のときは保険関係成立の日からその日の属する期の次の期の末日までを最初の期とする。)に分けて納付することができ、最初の期の納期限は保険関係成立日の翌日から起算して20日以内となっており、2期目以降の納期限は次のようになっている。
4月1日から7月31日→納期限(3月31日)
8月1日から11月30日→納期限(10月31日)
12月1日から翌年3月31日→納期限(1月31日)
よって、保険関係が6月15日に成立した場合は、最初の期が6月15日から11月30日で、納期限は7月5日(6月16日から20日後)となり問題文は正解である。
なお、有期事業については、継続事業の場合と異なり、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合でも、各期の納期限が同じである。

(ウ)正解
法15条1項、法18条、則27条
継続事業(一括有期事業を含む。)の概算保険料については、10月1日から3月31日までに保険関係が成立した事業については当該年度の概算保険料は延納することができない。よって、保険関係成立日の翌日から起算して50日以内に概算保険料を納付する必要がある。
問題文の事例の場合は、10月1日に保険関係が成立しているので、11月20日(10月2日から50日後)までに当該概算保険料を納付しなければならない。

(エ)誤り
則29条、則30条
増加概算保険料については、その性格上、政府による「認定決定」は行われない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、増加保険料の延納については、(1)既に申告している概算保険料につき、延納申請を行っている場合、(2)増加概算保険料申告書を提出する際に、延納申請を行うことにより可能である。
また、政府によって、認定決定された概算保険料についても、事業主がその概算保険料を納付する際に延納の申請を行うことにより延納を行うことが可能である。

(オ)誤り
則27条、則28条
継続事業(一括有期事業を含む)の場合は、納付すべき概算保険料の額が40万円以上(労災保険又は雇用保険の一方のみ保険関係が成立している事業の場合は20万円以上)である場合は、概算保険料申告書の提出時に申請することで概算保険料の延納を行うことができる。
しかしながら、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている場合は、納付すべき概算保険料の額を問わず事業主が申請することで概算保険料の延納することが可能である。
よって、「納付すべき概算保険料の額が20万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、10万円)以上」とした問題文は誤りとなる。
なお、10月1日から3月31日までに保険関係が成立した事業については当該年度の概算保険料は延納することができない。

※正解の組合せは、(イ)と(ウ)であるため、(C)が正解となる。

  

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