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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成13年労基-第2問(労働基準法の解雇)
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■平成13年労基-第2問(労働基準法の解雇)

労働基準法の解雇に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)使用者は、労働者が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という。)の規定によって育児休業又は介護休業をする期間及びその後30日間は、当該労働者を解雇してはならない。

(B)業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業している労働者については、使用者が労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払った場合(労働者災害補償保険法第19条によって打切補償を支払ったものとみなされた場合を含む。)にのみ労働基準法第19条第1項の解雇制限の規定の適用が除外される。

(C)一定の事業に限ってその完了に必要な期間を契約期間とする労働契約を締結している労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業している期間中に、当該事業が完了し当該労働契約の終期が到来するような場合においては、当該労働者の労働契約はその契約期間の満了によって終了するものであって、労働基準法第19条第1項の解雇制限の規定の適用はない。

(D)使用者が平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇を行う意思表示をする場合には、解雇予告手当を支払った日数分を限度として当該解雇による労働契約の終了日を遡ることができる。例えば5月1日に平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇の意思表示をする場合には、当該解雇による労働契約の終了日をその年の4月1日にまで遡ることができる。

(E)日々雇い入れられる者については、労働基準法第20条に定める解雇予告に関する規定は適用されることはない。



■解説

(A)誤り
法19条1項
解雇が制限されるのは、「業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間」(※通勤災害の場合は含まれない。)、「産前産後の女性が法65条の規定によって休業する期間及びその後30日間」である。よって問題文のような規定は存在しない。
なお、育児介護休業の申出、又は育児介護休業をしたことを理由とする解雇は禁止されている(育介法10条、16条)

(B)誤り
法19条1項
問題文の場合だけでなく、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合にその事由について行政官庁の認定を受けたとき」は、解雇制限の規定の適用が除外される。

(C)正解
法19条1項、昭和23年1月16日基発56号、昭和24年12月6日基収3908号、昭和63年3月14日基発150号
期間の定めのある労働契約は、自動更新する場合など他に特段の事情がない限り、契約期間が満了したときに、使用者からの労働契約解除の意思表示をまたずに自動的に終了することになる。
よって、業務災害に罹災しその療養のために休業する期間中の労働契約も当初の契約期間の満了とともに終了することになり解雇の問題は生じず、法19条の解雇制限の規定の適用もうけない。

(D)誤り
法20条
解雇予告手当を支払った日数分を限度として解雇予告の日数を短縮することができるが、問題文の場合のように解雇予告手当を支払うことにより、労働契約の終了日を遡るといったことはできない。

(E)誤り
法21条但書
「日日雇い入れられる者」であっても、1箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合には、解雇予告に関する規定は適用される。

  

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