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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成15年労基-第1問(労働基準法の総則等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成15年労基-第1問(労働基準法の総則等)

労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者数の算定に当たっては、当該事業場に派遣されて現に指揮命令を受けて働いている派遣労働者も含めなければならない。

(B)労働基準法は、労働者及び使用者双方に対して、就業規則を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない旨定めている。

(C)ある労働者派遣事業が、所定の手続を踏まないで行われている違法なものであっても、当該労働者派遣事業の事業主が業として労働者派遣を行う行為は、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」と規定する労働基準法第6条の中間搾取には該当しない。

(D)労働基準法及びそれに基づく命令の規定により事業主に申請等が義務づけられている場合において、当該申請等について事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、その社会保険労務士は、同法第10条にいう「使用者」に該当するものであるので、その社会保険労務士を、当該申請等の義務違反の行為者として、同法の罰則規定に基づきその責任を問うことができる。

(E)労働組合はないが、会社の代表取締役以下の役員及び従業員全員で構成される「友の会」がある事業場において、そのほとんどすべての構成員が出席して開催された「友の会」の総会の後、会社役員のみが退席し部長など労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある労働者(以下「管理監督者」という。)を含め当該総会に出席した当該事業場のほとんどすべての従業員が残っている場において、当該「友の会」の会長をしている労働者(管理監督者ではない。)が、36協定の労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出することを明らかにして実施された挙手により当該締結当事者として選出された場合には、その者は、法所定の要件を満たす「労働者の過半数を代表する者」とみることができる。



■解説

(A)誤り
法36条、派遣法44条2項、昭和61年6月6日基発333号、平成11年3月31日基発168号
派遣労働者に係る36協定は派遣元の事業場で締結する。
よって、派遣労働者が派遣されている事業場(派遣先事業場)で36協定を締結する場合の労働者数の算定については派遣労働者を含めない。
※そもそも派遣労働者は派遣先の労働者ではない。

(B)正解
法2条2項
なお、この規定は訓示的なものであり、罰則の適用はありません。

(C)正解
法6条、派遣法2条1号、昭和61年6月6日基発333号、平成11年3月31日基発168号
労働者派遣とは、「派遣元との労働契約」、「派遣先での指揮命令」、「派遣元と派遣先の派遣契約」を併せたものが全体としての労働関係になるものである。ちなみに、派遣先と労働契約が存在する場合には労働者派遣に該当しない。
そして、法6条の「中間搾取」とは労働関係外の第三者が他人の労働関係に介入し利益を得ることをいう。
よって、労働者派遣手続が適法であるかどうかに関係なく、労働者派遣は第三者が労働関係に介入することにはならず、中間搾取には該当しない。

(D)正解
法10条、昭和62年3月26日基発169号
事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により申請等を行わなかった場合には、当該社会保険労務士は、法10条に規定されている「使用者」及び、両罰規定にいう「代理人、使用人その他の従業者」に該当するので、当該申請等の義務違反の行為者として、罰則規定及び両罰規定に基づきその責任を問われることもある

(E)正解
法36条、則6条の2、平成11年3月31日基発169号
問題文の場合の過半数代表者は、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続き」により選出されており、「労働者の代表者を使用者が一方的に指名する」、「親睦会の代表者が自動的に労働者の代表者になる」、「一定の役職者が自動的に労働者の代表者になる」、「一定範囲の役職者が互選により労働者の代表者を選出」する等の禁止事項に該当しておらず、問題ない選出方法だといえる。

  

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