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■平成15年労基-第2問(労働基準法に定める労働契約等)

労働基準法に定める労働契約等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法第15条においては、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については書面の交付により明示しなければならないこととされているが、労働時間については、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等のほか、残業(所定労働時間を超える労働)の有無についても、書面の交付により明示しなければならないこととされている。

(B)一定の期間を契約期間とする労働契約により雇い入れられた労働者が、契約期間の途中で業務上負傷し、療養のため休業する場合には、使用者は、少なくとも当該休業期間中及びその後30日間は、当該労働契約を終了させることのないよう当該労働契約の契約期間を更新し、又は延長しなければならない。

(C)労働契約の締結に際し、労働者に対して書面の交付により明示しなければならないこととされている賃金(退職手当及び一定の賃金を除く。)の決定及び計算に関する事項に係る書面の内容としては、当該事業場の就業規則を労働者に周知させる措置が講じられていれば、就業規則の規定と併せ当該事項が当該労働者について確定し得るものであればよく、例えば、当該労働者の採用時に交付される辞令であって当該就業規則に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えないとされている。

(D)使用者は、労働者が退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、遅滞なくこれを交付しなければならない。

(E)労働契約の締結に際し労働者に対して書面の交付により明示しなければならないこととされている労働条件の多くは就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項とも一致しているが、労働契約の締結に際し労働者に対して書面により明示しなければならないこととされている「就業の場所に関する事項」は、就業規則の絶対的必要記載事項とはされていない。



■解説

(A)正解
法15条1項、則5条1項・2項・3項
労働契約締結時の書面明示事項のうち労働時間に関する事項は「始業及び終業の時刻」、「所定労働時間を超える労働(残業)の有無」、「休憩時間」、「休日」、「休暇」、「就業時転換に関する事項」となっている。
ちなみに「所定労働時間を超える労働(残業)の有無」以外は、就業規則の絶対的必要記載事項となっている。

(B)誤り
法19条、昭和63年3月14日基発150号
有期労働契約により雇用されている労働者との労働契約が満了し、労働契約を解除する場合は「解雇」に該当しない。
なので、有期労働契約期間中に当該労働者が業務災害で休業(解雇制限事由)し、そのまま労働契約が満了したとしても、なんら制限をうけることなく(そもそも解雇に該当しないので制限事由も問題は生じない)当該労働契約は自動的に終了する。
よって、労働契約を終了させることがないように契約期間を更新又は延長する必要はない。

(C)正解
法15条1項、則5条、昭和51年9月28日基発690号、平成11年1月29日基発45号
就業規則等を労働者に周知させる措置が講じられている事業場では、労働契約締結時の賃金に関する事項の交付書面の内容としては、就業規則等の規定と併せ、賃金に関する事項が当該労働者について確定し得るものであれば問題ない。
例としては、労働者の採用時に交付される辞令等に、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えないとされている。
なお、労働契約に際し書面を交付しなければならないその他の労働条件に関しても、労働者に適用する部分を明確にした就業規則を交付する方法でも差し支えないとされている。

(D)正解
法22条1項
問題文の内容は正しい。
ちなみに、解雇予告日から実際の退職の日までの間に、解雇予告を受けた当該労働者から解雇理由についての証明書の交付請求があった場合には、使用者は遅滞なく交付しなければならない。

(E)正解
法15条1項、法89条、則5条1項
労働契約締結時の労働条件の書面交付事項であって、就業規則の絶対的必要記載事項でないものには、「就業の場所に関する事項」、「労働契約の期間」、「従事すべき業務の内容」、「所定労働時間を超える労働(残業)の有無」がある。

  

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