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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成15年労基-第4問(労働基準法に定める解雇等)
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■平成15年労基-第4問(労働基準法に定める解雇等)

労働基準法に定める解雇等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法第20条では、使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前の予告をしなければならないと規定しているが、労働者側からする任意退職についても、就業規則その他に別段の定めがない場合には、同条の趣旨に照らして、少なくとも30日前の予告が必要であると解されている。

(B)使用者が労働者を解雇しようとする場合において、解雇の意思表示は、当該労働者に対し、当該解雇の理由を記載した書面を交付することにより行われなければならない。

(C)労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項但書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が、即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。

(D)使用者が、2か月の期間を定めて雇い入れた労働者を、雇入れ後1か月経過した日において、やむを得ない事由によって解雇しようとする場合には、解雇の予告に関する労働基準法第20条の規定が適用される。

(E)使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告をした日から10日目に、業務上の負傷をし療養のため3日間休業したが、当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているところから、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。



■解説

(A)誤り
法20条、民法627条1項
使用者からの労働契約の解除(解雇)に対しては法20条の解雇予告の規定が適用される。
しかし労働者からの労働契約の解除(任意退職)に関しては、労働基準法に規定されていないので、就業規則等に別段の定めがない場合は、私法の一般法である民法の規定が適用されることになる。
よって、期間の定めのない労働契約で勤務する労働者から労働契約の解除(任意退職)を申し入れる場合は、民法627条1項の規定により「解約の申し入れの日から2週間経過した日」に労働契約は終了することになる。

(B)誤り
法20条、民法540条
労働基準法では、解雇の意思表示を書面で行うことは規定されていない。
また、私法の一般法である民法でも契約解除についてはその形式を問わないことになっている。
よって、解雇の意思表示は口頭で行っても問題はない。

(C)正解
法20条、民法540条、昭和63年3月14日基発150号
使用者からの労働契約の解除(解雇)の効力は、相手側(労働者)への意思表示によって発生する。
なお、解雇予告除外認定は、解雇予告を行う必要がない事由(労働者の責めに帰すべき事由)が存在するかどうかを行政官庁が確認する処分であり、解雇の効力の発生要件ではない。

(D)誤り
法20条、法21条2号
「2箇月以内の期間を定めて使用される者」には解雇予告は不要である。
ただし、所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は、解雇予告が必要になる。
問題文の場合は、所定の期間(2ヶ月)を超えていないので、解雇予告は必要ない。

(E)誤り
法19条、昭和26年6月25日基収2609号
解雇予告期間が満了する前に、当該労働者が業務災害により休業する場合は、その程度に関係なく(例え1日の休業でも)、解雇制限の規定が適用されることになる。
よって、業務災害による休業期間とその後30日間は解雇することができない。
ちなみに、休業期間が長期にわたり解雇予告が効力を失う場合以外は、治癒した日に改めて解雇予告を行う必要はないとされている。

  

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