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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成16年労基-第1問(労働基準法の総則等)
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■平成16年労基-第1問(労働基準法の総則等)

労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)船員法第1条第1項に規定する船員については労働基準法は適用されず、したがって、同法第1条「労働条件の原則」、第2条「労働条件の決定」等の労働憲章的部分も、当然適用されない。

(B)家事使用人と雇主との間に結ばれる家事一般に従事するための契約は、民法上の雇傭契約であると同時に労働基準法が適用される労働契約でもある。

(C)ある法人企業の代表者が労働基準法第24条の規定に違反して賃金を支払わなかった場合には、法人の代表者の行為は法人の行為として評価されるから、当該賃金不払いについては、当該法人企業に対してのみ罰則が科される。

(D)公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害するおそれのある場合においては、公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に付する旨の就業規則の条項を適用して従業員を懲戒解雇に付することも許されるとするのが最高裁の判例である。

(E)労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。



■解説

(A)誤り
法116条1項
船員については、原則として労働基準法が適用されない。
しかし、総則(法1条から法11条まで)、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人についての適用除外(法116条2項)、罰則(法117条から法119条まで、及び法121条)の規定は適用される。

(B)誤り
法116条2項
民法上の雇傭契約に該当するとしても、家事使用人に対しては、労働基準法が適用されないので労働契約には該当しない。

(C)誤り
法120条、法121条
労働基準法は行為者に対する罰則を原則としている。
よって、問題文の場合は、違反行為を行った法人の代表者に対して罰則が適用されることになる。
なお、両罰規定により事業主(法人)に対しても罰則は適用されることになる。

(D)誤り
法7条、十和田観光電鉄事件(昭和38年6月21日最高裁判決)
市議会議員選挙に立候補し当選した労働者が、会社に対し、議員に就任したこと、公務就任中は休職の取扱いにしてもらいたいことを申し出たが、会社側は、従業員が会社の承認を得ずに公職に就任した場合は懲戒解雇する旨の就業規則の規定に該当するとして、懲戒解雇に付した。
それに対し、労働者は、このような就業規則の規定は労基法7条等に反し無効であって、それゆえ懲戒解雇も無効であると主張して訴えを提起した。
その訴えに対して、最高裁判所は、「公職の就任を使用者の承認事項として、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に付する旨の就業規則は労働基準法第7条に違反して無効であり、この場合、当該就業規則に基づく懲戒解雇について、普通解雇に付するは格別、懲戒解雇に付することは許されないとする」と判断した。

(E)正解
法1条、法2条、法15条、則5条1項
法1条及び法2条の労働条件は、労働者の職場における一切の待遇が含まれる。
しかし、法15条で労働契約の締結に際し明示することになっている労働条件の範囲は施行規則で定められた労働条件に限られ、すべての労働条件がその対象となっているわけではない。
よって、法1条及び法2条の労働条件と法15条の労働条件の範囲は異なる。

  

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