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■平成16年労基-第5問(労働基準法に定める割増賃金等)

労働基準法に定める割増賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)ある作業中に、やむを得ない事情により特殊な危険作業(例えば高圧電流の通じる線を取り扱う作業)に従事する場合、これに対してその日は特に危険作業手当を支給することになっているが、当該危険作業手当は、その労働者の通常の労働日に対する賃金とは関係のない臨時的なものと考えられるので、当該危険作業が法定の時間外労働として行われた場合であっても、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えない。

(B)始業時刻が午前8時、終業時刻が午後5時、休憩時間が正午から午後1時までの事業場において、徹夜残業を行い、翌日の法定休日の正午において当該残業が終了した場合、当該法定休日の午前8時までは前日の労働時間の延長として、その後は法定休日の労働として、割増賃金の計算を行わなければならない。

(C)その賃金が完全な出来高払制その他の請負制によって定められている労働者については、その賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間における総所定労働時間数で除した金額を基礎として、割増賃金の計算の基礎となる通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額を計算する。

(D)労働者派遣契約上、法定時間外労働及び法定休日労働がないものとされ、したがって、労働基準法第36条の規定に基づく時間外・休日労働に関する協定の締結など法所定の手続がとられていない場合であっても、派遣先の使用者が、当該労働者派遣契約に違反して法定休日において派遣中の労働者に休日労働を行わせたときは、派遣先の使用者ではなく派遣元の使用者が当該休日労働に係る割増賃金を支払わなければならない。

(E)農林漁業に従事する労働者については、労働基準法に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用除外となっているところから、これらの者が行う深夜業についても同法第37条の規定による割増賃金を支払う必要はない。



■解説

(A)誤り
昭和23年11月22日基発1681号
危険作業が法定の時間外労働として行われた場合には、危険作業手当を法37条の割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならない。

(B)誤り
法37条、平成6年5月31日基発331号
休日は原則として暦日によるものとされている。よって法定休日の午前0時以降の労働に関しては休日労働の割増賃金を支払う必要がある。
問題文の場合は、午後5時から午前0時までは時間外労働の割増賃金、午前0時から午後12時までは休日労働の割増賃金を支払う必要がある。
ちなみに深夜業の時間帯では深夜業に対する割増賃金も支払う必要がある。

(C)誤り
則19条1項6号、平成11年3月31日基発168号
「総所定労働時間数」ではなく、賃金の総額を、当該賃金算定期間における「総労働時間数」で除した金額を基礎として割増賃金の計算基礎となる通常の賃金を計算する。

(D)正解
昭和61年6月6日基発333号
法違反であるかどうかにかかわらず、派遣先の使用者が派遣労働者に時間外労働・休日労働を行わせた事実がある場合は、派遣元の使用者が当該時間外労働・休日労働に係る割増賃金を支払わなければならない。

(E)誤り
法41条1号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
「林業」については、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用除外になっていない。
また、「農業・漁業」についても深夜業に関する規定は適用除外になっていない。
よって、「林業」はもちろん「農業・漁業」についても深夜業に対する割増賃金は支払う必要がある。

  

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