社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成18年労基-第1問(労働基準法の総則等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成18年労基-第1問(労働基準法の総則等)

労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法の総則においては、労働関係の当事者は、労働条件の向上を図るように努めなければならない旨の規定が置かれている。

(B)労働者派遣中の労働者が派遣就業中に派遣先事業場において業務上負傷し、療養のため、3日間労働することができないために賃金を受けない場合においては、派遣先の使用者が労働基準法第76条第1項の規定に基づき休業補償を行わなければならない。

(C)労働基準法第114条の規定による付加金に係る労働者の請求は、違反のあった時から2年以内にしなければならないこととされている。

(D)使用者は、労働基準法第106条の規定に基づき、労働基準法及びこれに基づく命令の要旨並びに同法第36条第1項の規定に基づく時間外労
働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)等のいわゆる労使協定を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること等の方法によって、労働者に周知させなければならない。

(E)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第44条には、労働基準法の適用に関する特例が定められており、派遣先が国又は地方公共団体である場合においても、当該国又は地方公共団体に派遣されている労働者に関しては、当該特例の適用があり、したがって当該国又は地方公共団体に対して当該特例による労働基準法の適用がある。



■解説

(A)正解
法1条2項
労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならないとされている。
よって、問題文は正解である。

(B)誤り
法76条、労働者派遣法44条、平成11年3月31日基発168号
派遣元事業主は、労働者の派遣先事業場を任意に選択できる立場にあり、労災事故の起きた派遣先事業主と労働者派遣契約を締結し、それに基づいて労働者を派遣したことに責任があること、また、派遣元事業主は、派遣労働者を雇用し、自己の業務命令によって派遣先の事業場において就労させているのであるから、派遣労働者を雇用している者として、派遣先の事業場において派遣労働者の安全衛生が確保されるよう十分配慮する責任があることなどから、派遣元事業主に災害補償責任を負わせることとされている。
よって、「派遣先の使用者」とした問題文は誤りである。

(C)正解
法114条
裁判所は、解雇予告手当、休業手当、割増賃金、年次有給休暇中の賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができるが、この請求は、違反のあった時から2年以内にしなければならないとされている。
よって、問題文は正解である。

(D)正解
法106条
使用者は、労働基準法及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、労使協定(貯蓄金の管理、賃金の控除、1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、一斉休憩の適用除外、時間外・休日労働、事業場外のみなし労働時間、裁量制のみなし労働時間、年次有給休暇の計画的付与、年次有給休暇中の賃金)、労使委員会の決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならないことになっている。
よって、問題文は正解である。

(E)正解
労働者派遣法44条、労働者派遣事業関係業務取扱要領
労働基準法等の労働者保護法規の労働者派遣事業に対する適用については、原則として派遣中の労働者と労働契約関係にある派遣元の事業主が責任を負う立場にある。
しかしながら、派遣中の労働者に関しては、その者と労働契約関係にない派遣先の事業主が業務遂行上の具体的指揮命令を行い、また実際の労働の提供の場における設備、機械等の設置・管理も行っているため、派遣中の労働者について、その保護に欠けることのないようにする観点から、派遣先における具体的な就業に伴う事項であって、労働者派遣の実態から派遣元の事業主に責任を問うことの困難な事項、派遣労働者保護の実効を期すうえから派遣先の事業主に責任を負わせることが適当な事項については、派遣先の事業主に責任を負わせることとしている。
なお、派遣先が労働基準法等の適用の対象となる事業でない場合(派遣先が事業を行っていない場合)は、仮に派遣先が直接労働者を雇用する場合にも労働基準法等の適用はないことにかんがみ、特例の適用はないこととなるので、このような派遣先に労働基準法等の規定が適用されることはないが、労働基準法は、国、都道府県、市町村その他これに準ずべきものについても適用される(法112条)ことになっており、国又は地方公共団体に派遣されている労働者に関しても特例の適用があることになる。
よって、問題文は正解となる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労働基準法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved