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■平成19年労基-第4問(労働基準法に定める解雇等)

労働基準法に定める解雇等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)使用者は、労働基準法第64条の規定により、満18才に満たない者が解雇の日から30日以内に帰郷する場合においては、一定の場合を除き、必要な旅費を負担しなければならない。

(B)業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業している労働者については、使用者が、労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払った場合(労働者災害補償保険法第19条の規定によって打切補償を支払ったものとみなされた場合を含む。)又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となりその事由について行政官庁の認定を受けた場合には、労働基準法第19条第1項の規定による解雇制限は適用されない。

(C)使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は解雇予告手当の支払をしないで労働者に解雇の意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受け取るかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者は同条所定の解雇の予告がないとしてその無効を主張することができ、又は解雇の無効を主張しないで解雇予告手当の支払を請求することができるとするのが最高裁判所の判例である。

(D)ある使用者が、その期間が3か月の労働契約を2回更新し、3回目を更新しないこととした。その場合には、労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

(E)季節的業務に8月25日から10月30日までの雇用期間を定めて雇い入れた労働者を、使用者が、雇入れ後1か月経過した日において、やむを得ない事由によって解雇しようとする場合には、解雇の予告に関する労働基準法第20条の規定が適用される。



■解説

(A)誤り
法64条
満18才に満たない者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならないことになっている。
よって、「解雇の日から30日以内に帰郷する場合」とした問題文は誤りである。
なお、満18才に満たない者がその責めに帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定を受けたときは、帰郷旅費を負担しなくてもよい。

(B)正解
法19条
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が法65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。(解雇制限)
しかし、使用者が、法81条の規定によって打切補償を支払う場合(労働者災害補償保険法第19条の規定によって打切補償を支払ったものとみなされた場合を含む。)又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(この場合にはその事由について行政官庁の認定を受ける必要がある。)においては、解雇制限の規定は適用されないことになっている。
よって、問題文は正解である。

(C)誤り
法20条、細谷服装事件(昭和35年3月11日最高裁判決)
労働基準法20条違反の解雇の効力と附加金の支払請求が争われた訴訟で最高裁判所は「労働基準法20条の意図するところが、解雇により失職する労働者に対し他に就職の口を求めるに必要なる所定期間内の生活を保障せんとするにあることを思えば、同条の定める予告期間を設けず且つ予告手当の支払もせずになした解雇の意思表示は、これにより即時解雇としての効力を生じ得ないけれども、その解雇通告の本旨が、使用者において即時であると否とを問わず要するにその労働者を解雇しようとするにあって即時の解雇が認められない以上解雇する意思がないというのでない限り、右解雇通告はその後同条所定30日の期間経過を俟ってその効力を生ずる至るものと解するを相当とすべく、かく解したからとて何等法の附与せんとする労働者の保護を薄からしめることはない」と判断している。
よって、問題文の内容は最高裁判所の判例とは異なっており、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法14条、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成20年1月23日厚生労働省告示第12号)第2条
使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないとされている。
問題文の事例の場合だと、3か月の労働契約を2回更新したときには雇入れの日から起算して9か月しか継続勤務しておらず、また、労働契約を3回以上更新していないため、2回目の労働契約の満了日の30日前までに予告をする必要ない。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法20条、法21条
季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は除く)については法20条の解雇予告の規定は適用されない。
よって、「解雇の予告に関する労働基準法第20条の規定が適用される。」とした問題文は誤りとなる。

  

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