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■平成20年労基-第2問(労働基準法に定める就業規則等)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)1人でも労働者を使用する事業場においては、使用者は就業規則を作成しなければならない。

(B)就業規則を作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

(C)使用者は、いかなる場合でも就業規則に制裁の種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならない。また、減給の制裁を就業規則に定める場合には、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

(D)使用者は、就業規則を、書面を労働者に交付する方法によってのみ、労働者に周知させなければならない。

(E)就業規則が法令又は当該事業場について適用される労働協約に抵触する場合には、行政官庁は、当該就業規則の変更を命ずることができる。



■解説

(A)誤り
法89条
就業規則の作成義務があるのは、常時10人以上の労働者を使用する使用者である。
よって、「1人でも労働者を使用する事業場」とした問題文は誤りとなる。
なお、労働者派遣業の場合、法89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者とされている。(昭和61年6月6日基発333号)

(B)誤り
法90条
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないとされている。
よって、「同意を得なければならない」とした問題文は誤りとなる。
なお、法90条は労働組合との協議決定を要求するものではなく、労働組合の意見を聴けば労働基準法違反とはならない。(昭和25年3月15日基収525号)
また、派遣元の使用者は、当該派遣元の事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならず、この場合の労働者とは、当該派遣元の事業場のすべての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の労働者との両者を含むとされている。(昭和61年6月6日基発333号)

(C)誤り
法89条、法91条
制裁の種類及び程度に関する事項については、定めをする場合には記載しなければならない相対的必要記載事項とされているため「必ず記載しなければならない」とした問題文は誤りとなる。
なお、就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとされており、後半部分については正しい。

(参考)
絶対的必要記載事項
・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項
・賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
相対的必要記載事項
・退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項
・臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
・労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
・安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
・労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項(例えば旅費規程を定める場合)

(D)誤り
法106条1項、則52条の2
使用者は就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付すること、磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することによって労働者に周知させなければならないとされている。
よって、「書面を労働者に交付する方法によってのみ」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法92条
就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならず、行政官庁は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。
よって、問題文は正解となる。

  

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