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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成20年労基-第7問(監督機関、雑則、罰則等)
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■平成20年労基-第7問(監督機関、雑則、罰則等)

労働基準法に定める監督機関、雑則、罰則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準監督官には、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、使用者や労働者に対して尋問を行う権限が認められている。

(B)労働者は、事業場に労働基準法違反の事実がある場合には、行政官庁又は労働基準監督官にその事実を申告することができ、使用者は、労働者がこの申告をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(C)労働基準法に基づいて支払うべき賃金又は手当を使用者が支払わなかったときには、裁判所は、労働者の請求により、使用者が支払わなければならない未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命じなければならない。

(D)労働基準法第116条第2項の規定により、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、労働基準法は適用しないものとされている。

(E)労働基準法は、同法が定める規定に違反する行為をした者に対して罰則を定めているだけでなく、その事業主に対しても罰金刑を科すものとしているが、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合においては、当該事業主に対しては罰金刑を科さないものとしている。



■解説

(A)正解
法101条1項
労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、労働基準監督官が権限を行使する場合には、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。(法101条2項)

(B)正解
法104条
労働者は、勤務する事業場に労働基準法違反の事実がある場合は、その事実を労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告することができ、使用者は、労働者が労働基準法違反の事実を労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱をすることはできないことになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、労働者が監督機関に申告したことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを行った使用者は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。(法119条)

(C)誤り
法114条
裁判所は、使用者が、解雇予告手当、休業手当、時間外労働等の割増賃金、年次有給休暇期間の賃金を支払わない場合、労働者の請求により、使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができることになっている。
よって、付加金については未払い金がある場合に裁判所が必ず命じなければならない性質のものではなく、問題文は誤りとなる。
なお、請求は違反のあったときから2年以内に行う必要がある。

(D)正解
法116条2項
労働基準法は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については適用されない。
よって、問題文は正解となる。
なお、同居の親族は事業主と居住及び生計を一にするものであり、原則として労働基準法上の労働者には該当しないが、同居の親族であっても、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業において一般事務又は現場作業等に従事し、かつ、業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であり、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、賃金の締切り及び支払いの時期等について、就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理及び就労の実態が他の労働者と同様になされている場合には労働基準法上の労働者として取り扱われる。(昭和54年4月2日基発151号)

(E)正解
法121条1項
労働基準法の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても罰金刑が科される。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合においては、罰金刑は科されない。
よって、問題文は正解となる。
なお、法令の規定により事業主等に申請等が義務づけられている場合において、事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、当該社会保険労務士は、法10条にいう「使用者」及び各法令の両罰規定にいう「代理人、使用人その他の従業者」に該当するものであるので、当該社会保険労務士を当該申請等の義務違反の行為者として各法冷罰則規定及び両罰規定に基づきその責任を問い得る。また、この場合、事業主等に対しては、事業主等が社会保険労務士に必要な情報を与える等申請等をし得る条件を整備していれば、通常は、必要な注意義務を尽くしているものとして免責されるものと考えられているが、そのように必要な注意義務を尽くしたものと認められない場合には、当該両罰規定に基づき事業主等の責任をも問い得る。(昭和62年3月26日基発169号)

  

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