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■平成21年労基-第5問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働安全衛生法に定めるいわゆる特殊健康診断が法定労働時間外に行われた場合には、使用者は、当該健康診断の受診に要した時間について、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払わなければならない。

(B)使用者から会議への参加を命じられた場合に、その会議が法定労働時間を超えて引き続き行われたときは、使用者は、当該引き続き行われた時間について、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払わなければならない。

(C)労働安全衛生法に定める安全委員会の会議が法定労働時間外に行われた場合には、使用者は、当該会議への参加に要した時間について、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払わなければならない。

(D)労働者を就業規則に定める休憩時間に来客当番として事務所に待機させたが、その時間に実際に来客がなかった場合には、休憩時間以外の労働時間が法定労働時間どおりであれば、使用者は、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払う義務はない。

(E)労働安全衛生法に定めるいわゆる一般健康診断が法定労働時間外に行われた場合には、使用者は、当該健康診断の受診に要した時間について、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払う義務はない。



■解説

(A)正解
法32条、法37条1項、昭和47年9月18日基発602号
特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該健康診断が時間外に行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであることとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行なわれるのを原則とすることとされている。

(B)正解
法37条、法37条1項、三菱重工業長崎造船所事件(平成12年3月9日最高裁判決)
労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないとされている。
よって、使用者から参加を命じられた会議については、労働時間に該当し、その会議が法定労働時間を超えて行われたときは、割増賃金の支払いが必要となる。

(C)正解
法32条、法37条1項、昭和47年9月18日基発602号
安全・衛生委員会の会議の開催に要する時間は労働時間と解されること。従って、当該会議が法定時間外に行なわれた場合には、それに参加した労働者に対し、当然、割増賃金が支払われなければならない。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法32条、法37条1項、昭和23年4月7日基収1196号、昭和33年10月11日基収6286号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
休憩時間に来客当番として待機させていれば、それは労働時間となる。
また、来客当番の時間に実際に来客がなかったとしても、一定の場所に拘束されている以上いわゆる手待時間も労働時間となる。
よって、問題文の場合、割増賃金の支払いが必要となり、「割増賃金を支払う義務はない」とした問題文は誤りとなる。
なお、就業規則上の休憩時間に来客当番として待機させた場合、休憩時間を他に与えなければならないことになるが、その際は法34条2項ただし書による労使協定を締結しなければならない。

(E)正解
法32条、法37条1項、昭和47年9月18日基発602号
健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働者一般に対して行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行なわれるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可決な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこととされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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