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■平成25年労基-第4問(労働基準法に定める妊産婦等)

労働基準法に定める妊産婦等に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)派遣中の派遣労働者が、労働基準法第67条第1項の規定に基づく育児時間を請求する場合は、派遣元事業主に対してではなく、派遣先の事業主に対して行わなければならない。

(イ)使用者は、妊娠100日目の女性が流産した場合については、労働基準法第65条に規定する産後休業を与える必要はない。

(ウ)労働基準法では、「妊産婦」は、「妊娠中の女性及び産後6か月を経過しない女性」とされている。

(エ)労働基準法第65条第3項においては、「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」と規定されているが、派遣中の派遣労働者が同項の規定に基づく請求を行う場合は、派遣元の事業主に対してではなく、派遣先事業主に対して行わなければならない。

(オ)使用者は、労働基準法第66条第2項の規定に基づき、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

(A)(アとイ)

(B)(アとオ)

(C)(イとウ)

(D)(ウとエ)

(E)(エとオ)



■解説

(ア)正解
法67条、労働者派遣法44条、平成21年3月31日基発0331010号
派遣中の労働者については、派遣先の事業のみを当該労働者を使用する事業とみなして、労基法上の労働時間、休日及び休憩に係る規定を適用するとされており、育児時間の規定もこの中に含まれている。よって派遣中の派遣労働者が、育児時間の請求を行う場合には派遣先の事業主に対して行うことになるため、問題文は正解となる。

(イ)誤り
法65条、昭和23年12月23日基発1885号
労働基準法第65条(産前産後)に規定する出産は妊娠4か月以上(1か月は28日として計算する。したがって、4か月以上というのは、85日以上のことである。)の分娩とし、生産のみならず死産をも含むものとされている。
よって、妊娠100日目の女性が流産した場合は産後休業を与える必要があるため、「産後休業を与える必要はない。」とした問題文は誤りとなる。

(ウ)誤り
法64条の3
労働基準法における「妊産婦」とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性とされている。
よって、「産後6か月を経過しない女性」とした問題文は誤りとなる。

(エ)誤り
法65条3項、労働者派遣法44条、労働者派遣事業関係業務取扱要領
派遣中の労働者については、派遣先の事業のみを当該労働者を使用する事業とみなして、労基法上の労働時間、休日及び休憩に係る規定を適用するとされているが、この中に法65条(産前産後)の規定は含まれていない。
労働者派遣法における労働基準法等の適用の特例に関する規定は、当該特例規定がなければ派遣元の事業主が負担しなければならない責任を、特定のものについて派遣先の事業主に負わせるものであり、このような特例規定が存しない労働基準法等の規定については、すべて派遣元の事業主が責任を負担することになる。
よって、法65条3項に規定する他の軽易な業務への転換の請求は派遣元の事業主に対して行うことになるため「派遣先事業主に対して行わなければならない。」とした問題文は誤りとなる。

(オ)正解
法66条2項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号
妊産婦が請求した場合においては、使用者は当該妊産婦に時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないことになっている。なお、この場合、時間外労働若しくは休日労働についてのみ請求、深夜業についてのみの請求又はそれぞれについての部分的な請求も認められ、使用者はその請求された範囲で妊産婦をこれらに従事させなければ足りるものであること。また、妊産婦の身体等の状況の変化等に伴い、請求内容の変更があった場合にも同様であることとされている。
よって、問題文は正解となる。

※正解の組合せは、(ア)と(オ)であるため、(B)が正解となる。

  

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