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■平成26年労基-第1問(労働基準法の総則等)

労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。

(B)労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しており、その規制対象は、使用者であるか否かを問わないが、処罰対象は、業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。

(C)労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、裁判員等の公の職務を執行するための必要な時間を請求した場合に、使用者に、当該労働時間に対応する賃金支払を保障しつつ、それを承認することを義務づけている。

(D)労働基準法第9条にいう「事業」とは、経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものであって、場所的観念によって決定されるべきものではない。

(E)労働基準法にいう「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいうと定義されている。



■解説

(A)正解
法5条
労働基準法5条(強制労働の禁止)は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止している。すなわち、労働を強制する使用者と強制される労働者の間に労働関係があることが前提となる。しかしながら、その場合の労働関係は、必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法6条、昭和23年3月2日基発381号
労働基準法6条(中間搾取の排除)の違反行為の主体は「他人の就業に介入して利益を得る」第三者であって、「何人も」とは、本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体又は公人であると私人たるとを問わないこととされている。
よって、「業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
業として利益を得るの意義(昭和23年3月2日基発381号)

「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいう。従って1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば充分である。主業として為されると副業として為されるとを問わない。
「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等如何なる名称かを問わず、又有形無形なるとを問わない。使用者より利益を得る場合のみに限らず、労働者又は第三者より利益を得る場合をも含む。

(C)誤り
法7条、昭和22年11月27日基発399号
労働基準法7条(公民権行使の保障)の規定は、給与に関しては、何等触れていないから、有給たると無給たるとは、当事者の自由に委ねられた問題とされている。
よって、「当該労働時間に対応する賃金支払を保障しつつ、それを承認することを義務づけている。
」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法9条、昭和22年9月13日発基17号、昭和23年3月31日基発511号、昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
事業とは、工場、鉱山、事業所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものではないとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法10条
労働基準法において「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいうと定義されている。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、労働契約法において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいうと定義されている。 (労働契約法2条2項)

  

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