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■平成26年労基-第6問(労働基準法に定める休暇、休業等)

労働基準法に定める休暇、休業等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法第39条の趣旨は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与えることにある。

(B)最高裁判所の判例は、「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨である」と述べている。

(C)労働基準法第39条第6項に定めるいわゆる労使協定による有給休暇の計画的付与については、時間単位でこれを与えることは認められない。

(D)使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。ただし、その者について医師が他の軽易な業務に転換させなくても支障がないと認めた場合には、他の軽易な業務に転換させなくても差し支えない。

(E)労働基準法第68条に定めるいわゆる生理日の休暇の日数については、生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人によって異なるものであり、客観的な一般的基準は定められない。したがって、就業規則その他によりその日数を限定することは許されない。



■解説

(A)正解
法39条
労働基準法39条は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与えることを規定している。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
白石営林署事件(昭和48年3月2日)
年次有給休暇の権利は、労働基準法39条の要件の充足により、法律上当然に労働者に生ずるものであって、その具体的な権利行使にあたっても、年次有給休暇の成立要件として「使用者の承認」という観念を容れる余地はない(労働基準法の適用される事業場において、事実上存することのある年次有給休暇の「承認」または「不承認」が、法律上は、使用者による時季変更権の不行使または行使の意思表示にほかならない。)年次有給休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨であると解するのが相当であるというのが最高裁判所の判例である。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法39条、平成21年5月29日基発0529001号
時間単位年休は、労働者が時間単位による取得を請求した場合において、労働者が請求した時季に時間単位により年次有給休暇を与えることができるものであり、法39条6項の規定による計画的付与として時間単位年休を与えることは認められないとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法65条3項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号
使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならないことになっている。
この規定は、原則として女性が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではないとされている。
よって、「その者について医師が他の軽易な業務に転換させなくても支障がないと認めた場合には、他の軽易な業務に転換させなくても差し支えない。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法68条、昭和23年5月5日基発682号、昭和63年3月14日基発150号・婦発47号
生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人によって異なるものであり客観的な一般基準は定められない。したがって就業規則その他によりその日数を限定することは許されない。ただし、有給の日数を定めておくことはそれ以上休暇を与えることが明らかにされていれば差し支えないとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、その間の賃金は労働契約、労働協約又は就業規則で定めるところによって支給しても、しなくても差し支えないとされている。(昭和23年6月11日基収1898号、昭和63年3月14日基発150号・婦発47号)

  

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