社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成29年労基-第4問(時間外及び休日の労働)
■社会保険労務士試験過去問研究室





■平成29年労基-第4問(時間外及び休日の労働)

労働基準法第36条(以下本問において「本条」という。)に定める時間外及び休日の労働に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第7条により労働時間等設定改善委員会が設置されている事業場においては、その委員の5分の4以上の多数による議決により決議が行われたときは、当該決議を本条に規定する労使協定に代えることができるが、当該決議は、所轄労働基準監督署長への届出は免除されていない。

(B)坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務(以下本問において「坑内労働等」という。)の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならないと規定されているが、坑内労働等とその他の労働が同一の日に行われる場合、例えば、坑内労働等に8時間従事した後にその他の労働に2時間を超えて従事させることは、本条による協定の限度内であっても本条に抵触する。

(C)坑内労働等の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならないと規定されているが、休日においては、10時間を超えて休日労働をさせることを禁止する法意であると解されている。

(D)1日の所定労働時間が8時間の事業場において、1時間遅刻をした労働者に所定の終業時刻を1時間繰り下げて労働させることは、時間外労働に従事させたことにはならないので、本条に規定する協定がない場合でも、労働基準法第32条違反ではない。

(E)本社、支店及び営業所の全てにおいてその事業場の労働者の過半数で組織する単一の労働組合がある会社において、本社において社長と当該単一労働組合の本部の長とが締結した本条に係る協定書に基づき、支店又は営業所がそれぞれ当該事業場の業務の種類、労働者数、所定労働時間等所要事項のみ記入して、所轄労働基準監督署長に届け出た場合、有効なものとして取り扱うこととされている。



■解説

(A)正解
法36条、法38条の4、則17条、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法7条
労働時間等設定改善委員会が設置されている事業場においては、その委員の5分の4以上の多数による議決により決議が行われたときは、当該決議を法36条に規定する労使協定(36協定)に代えることができるが、この代替決議は必ず行政官庁に届け出なければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法36条1項、昭和41年9月19日基発997号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
坑内労働等の1日における労働時間数が1日についての法定労働時間数に2時間を加えて得た時間数を超えることは禁止されているが、坑内労働等とその他の労働が同一日中に行われ、かつ、これら二種の労働の労働時間数の合計が1日についての法定労働時間数を超えた場合においても、その日における坑内労働等の労働時間数が1日についての法定労働時間数に2時間を加えて得た時間数を超えないときは、所定の手続きがとられている限り適法となる。
問題文の場合は、坑内労働等の労働時間数は8時間であり、10時間を超えていないため適法となる。
よって、「本条に抵触する。」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法36条1項、昭和24年10月4日基収1484号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
坑内労働等の1日における労働時間数が1日についての法定労働時間数に2時間を加えて得た時間数を超えることは禁止されているため、休日においても10時間を超えて休日労働させることを禁止する法意であると解されている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法36条、昭和29年12月1日基収6143号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
法32条又は法40条に定める労働時間は実労働時間をいうものであり、時間外労働について法36条1項に基づく協定及び法37条に基づく割増賃金の支払を要するのは、実労働時間を超えて労働させる場合に限るものである。したがって、例えば労働者が遅刻した場合その時間だけ通常の終業時間を繰り下げて労働させる場合には、1日の実労働時間を通算すれば、法32条又は法40条の労働時間を超えないときは、法36条1項に基づく協定及び法37条に基づく割増賃金の支払の必要はないとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法36条、平成15年2月15日基発0215002号
法36条1項に基づく協定は、各事業場ごとに所轄労働基準監督署長に届け出ることとされているが、本社において社長と当該会社の労働組合本部の長とが締結した協定書に基づき、本社以外の事業場が労働者数等所要事項のみを記入して所轄労働基準監督署長に届け出た場合、当該労働組合が各事業場ごとにその事業場の労働者の過半数で組織されている限り、有効なものとして取り扱って差し支えないものとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労働基準法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved