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トップページ > 過去問研究室(労働基準法)> 平成29年労基-第6問(労働基準法に定める賃金) | |||||
■社会保険労務士試験過去問研究室 | |||||
労働基準法に定める賃金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (A)労働協約の定めによって通貨以外のもので賃金を支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる。 (B)労働基準法第25条により労働者が非常時払を請求しうる事由は、労働者本人に係る出産、疾病、災害に限られず、その労働者の収入によって生計を維持する者に係る出産、疾病、災害も含まれる。 (C)1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払う事務処理方法は、労働基準法第24条違反としては取り扱わないこととされている。 (D)賃金の過払を精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から控除することは、「その額が多額にわたるものではなく、しかもあらかじめ労働者にそのことを予告している限り、過払のあつた時期と合理的に接着した時期においてされていなくても労働基準法24条1項の規定に違反するものではない。」とするのが、最高裁判所の判例である。 (E)労働基準法第26条に定める休業手当は、同条に係る休業期間中において、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、支給する義務は生じない。
(A)正解 法24条、昭和63年3月14日基発150号 労働協約の定めによって通貨以外のもので支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られるとされている。 よって、問題文は正解となる。 (B)正解 法25条、則9条 使用者は、労働者又はその収入によって生活する人が次の事由に該当し、その費用に充てるために労働者から請求があった場合は、賃金の支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならないことになっている。 (1)出産した場合 (2)疾病にかかった場合 (3)災害にあった場合 (4)結婚した場合 (5)死亡した場合 (6)やむを得ない事由による1週間以上の帰郷をする場合 よって、問題文は正解となる。 なお、賃金の非常時払いの義務が発生するのは、上記の事由に限られ、規定されている以外の事由では、賃金を支払期日前に支払う必要はない。 (C)正解 法24条、昭和63年3月14日基発150号 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うことは、労働基準法第24条違反とされない。 よって、問題文は正解となる。 なお、1か月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払ことも、賃金全額払いの原則に違反しない。 (D)誤り 福島県教組事件(昭和44年12月18日) 適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、労働基準法24条1項但書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、同項の禁止するところではないと解するのが相当である。この見地からすれば、許さるべき相殺は、過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならないものと解せられるというのが最高裁判所の判例である。 よって、「過払のあつた時期と合理的に接着した時期においてされていなくても」とした問題文は誤りとなる。 (E)正解 法26条、昭和24年3月22日基収4077号 労働基準法26条の休業手当は、民法536条2項によって全額請求し得る賃金の中、平均賃金の100分の60以上を保障せんとする趣旨のものであるから、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務はないとされている。 よって、問題文は正解となる。 |
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