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■平成30年労基-第5問(労働基準法に定める労働契約等)

労働基準法に定める労働契約等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法第20条第1項の解雇予告手当は、同法第23条に定める、労働者の退職の際、その請求に応じて7日以内に支払うべき労働者の権利に属する金品にはあたらない。

(B)債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法第16条により禁止されている。

(C)使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。

(D)労働基準法第14条第1項第2号に基づく、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(期間の定めがあり、かつ、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものではない労働契約)について、同条に定める契約期間に違反した場合、同法第13条の規定を適用し、当該労働契約の期間は3年となる。

(E)労働基準法第22条第4項は、「使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信」をしてはならないと定めているが、禁じられている通信の内容として掲げられている事項は、例示列挙であり、これ以外の事項でも当該労働者の就業を妨害する事項は禁止される。



■解説

(A)正解
法23条、昭和23年3月17日基発464号
法20条1項の即時解雇の場合における30日の平均賃金の支払時期については、解雇と同時に即時に支払うべきものと解されており、法23条1項の期間(請求後7日間)の適用はない。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法16条、昭和22年9月13日発基17号
賠償予定の禁止の規定は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではないものとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法19条1項、昭和63年3月14日基発150号
「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき、かつ、突発的な事由の意であり、事業の経営者として社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともし難いような状況にある場合をいう。
問題文の事例の場合は、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」に該当しないため、解雇制限期間中である女性労働者を解雇することはできない。
よって、「産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法13条、法14条1項、平成15年10月22日基発1022001号
満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(期間の定めがあり、かつ、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものではない労働契約)について、同条に定める契約期間に違反した場合、同法第13条の規定を適用し、当該労働契約の期間は5年となる。
よって、「当該労働契約の期間は3年」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法22条4項、昭和22年12月15日基発502号、平成15年12月26日基発1226002号
法22条4項の「労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信」は制限列記事項であって例示ではないため、これ以外の事項についての通信は禁止されていない。
よって、問題文は誤りとなる。

  

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