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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成30年労基-第7問(労働基準法に定める就業規則等)
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■平成30年労基-第7問(労働基準法に定める就業規則等)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則は、それぞれ単独で労働基準法第89条の就業規則となるため、パートタイム労働者に対して同法第90条の意見聴取を行う場合、パートタイム労働者についての就業規則についてのみ行えば足りる。

(B)就業規則の記載事項として、労働基準法第89条第1号にあげられている「休暇」には、育児介護休業法による育児休業も含まれるが、育児休業の対象となる労働者の範囲、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、育児介護休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしている。

(C)常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則に制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならず、制裁を定めない場合にはその旨を必ず記載しなければならない。

(D)労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、制裁事由発生日(行為時)とされている。

(E)都道府県労働局長は、法令又は労働協約に抵触する就業規則を定めている使用者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができ、勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。



■解説

(A)誤り
法89条、法90条、昭和23年8月3日基収2446号、昭和63年3月14日基発712号
同一の事業場において一部の労働者についてのみ適用される就業規則を別に作成することは差支えないが、当該一部の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部分であるから、その作成又は変更に際しての法第90条の意見の聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが必要とされている。
よって、「パートタイム労働者についての就業規則についてのみ行えば足りる。」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法89条、平成3年12月20日基発712号、平成11年3月31日基発168号
法89条第1号において就業規則の記載事項として「休暇」があげられており、この「休暇」の中には従来から、育児休暇も含まれると解されていたが、育児休業法による育児休業も、この育児休暇に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要がある。
なお、育児休業法においては、育児休業の対象者、申出手続、育児休業期間等が具体的に定められているので、育児休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしていると解されている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法89条9号
制裁の種類及び程度に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項とされているため、制裁の定めをしない場合には、その旨を記載することを要しない。
よって、問題文は誤りとなる。

(参考)
絶対的必要記載事項
(1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項
(2)賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
(3)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
相対的必要記載事項
(1)退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項
(2)臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
(3)労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
(4)安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(5)職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(6)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(7)表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
(8)労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項(例えば旅費規程を定める場合)

(D)誤り
法91条、昭和30年7月19日基収5875号
労働基準法第91条の規定による平均賃金については、減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日をもって、これを算定すべき事由の発生した日とすることになっている。
よって、「制裁事由発生日(行為時)」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法92条2項
就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならないこととされており、行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができることになっているが、問題文のような規定は存在しない。
よって、問題文は誤りとなる。

  

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