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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成13年労災-第1問(通勤災害)
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■平成13年労災-第1問(通勤災害)

通勤災害に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(A)通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間の往復等の移動を合理的な経路及び方法により往復すること(業務の性質を有するものを除く。)をいう。(一部改正)

(B)通勤災害とは、通勤に通常伴う危険が具体化して生じた負傷、疾病、障害又は死亡をいう。

(C)通勤による疾病は、厚生労働省令で定めるものに限られる。

(D)通勤による疾病は、通勤による負傷に起因することの明らかな疾病に限られる。

(E)通勤の途中、理美容のため理髪店又は美容院に立ち寄る行為は、特段の事情が認められる場合を除き、日常生活上必要な行為とみることができ、その後合理的な経路に復した後は通勤と認められる。



■解説

(A)正解
法7条2項
法改正により通勤の範囲が次のように拡大された。
1.住居と就業の場所との間の往復
2.厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動(二重就職者の事業場間の移動)
3.住居と就業の場所との往復に先行し、又は後続する住居間の移動(単身赴任者の赴任先、帰省先住居間の移動)

(B)正解
法7条1項2号、昭和48年11月22日基発第644、平成3年2月1日基発75号、平成18年3月31日基発0331042号
「通勤による」とは通勤と相当因果関係のあること、つまり、通勤に通常伴う危険が具体化したことをいう。

1.具体的には、通勤の途中において、自動車にひかれた場合、電車が急停車したため転倒して受傷した場合、駅の階段から転落した場合、歩行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した場合、転倒したタンクローリーから流れ出す有害物質により急性中毒にかかった場合等、一般に通勤中に発生した災害は通勤によるものと認められる。

2.しかし、自殺の場合、その他被災者の故意によって生じた災害、通勤の途中で怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合などは、通勤をしていることが原因となって災害が発生したものではないので、通勤災害とは認められない。

(C)正解
法22条1項
通勤災害の対象になる負傷については制限がないが、疾病については、厚生労働省令で定めるものに限られている。
なお、厚生労働省令で定める疾病は、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」とされている。(則18条の4)

(D)誤り
法22条1項、則18条の4
通勤災害の対象となる疾病に範囲は厚生労働省令で定められているが、「通勤による負傷に起因する疾病」だけでなく「その他通勤に起因することの明らかな疾病」も含まれる。
問題文は、「通勤による負傷に起因することの明らかな疾病」に限るとしているので誤りとなる。

(E)正解
法7条3項、則8条、昭和58年8月2日基発420号
逸脱、中断の間及びその後の移動は原則として通勤とは認められないが、当該脱退・中断が日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最少限度の範囲で行う場合には、当該脱退、中断の後、合理的な経路に復した後は通勤と認められることとされている。
そして、日常生活上必要な行為とは次のように規定されている。
1.日用品の購入その他これに準ずる行為
2.職業訓練、学校で教育等を受ける行為
3.選挙権の行使
4.病院等で診察を受ける行為
なお、問題文の「理美容のため理髪店又は美容院に立ち寄る行為」は、日用品の購入その他これに準ずる行為とされている。

  

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