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■平成16年労災-第1問(労働者災害補償保険の適用)

労働者災害補償保険法第3条第1項の適用事業において労働に従事する者であって、当該事業について成立する労働者災害補償保険の保険関係において当該事業の事業主に使用される労働者に該当しないものは、次のうちどれか。
なお、以下において、労災保険法とは労働者災害補償保険法のことを、労災保険とは労働者災害補償保険のことを、徴収法とは労働保険の保険料の徴収等に関する法律のことをいう。


(A)所定労働日数のうち在宅勤務の日数が4分の3以上を占める者

(B)労働者派遣事業の事業主から派遣されて、派遣先の適用事業において当該事業の事業主の指揮命令を受けて労働に従事する者

(C)移籍出向の場合における出向先の適用事業において労働に従事する者

(D)1週間の所定労働時間が20時間未満の者

(E)技能実習生として就労する外国人



■解説

(A)該当
法3条1項、労基法9条、平成16年3月5日基発0305003号
労働者が在宅勤務(労働者が、労働時間の全部又は一部について、自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう。)を行う場合においても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されるとされている。
なお、労働者災害補償保険においては、業務が原因である災害については、業務上の災害として保険給付の対象となるが、自宅における私的行為が原因であるものは、業務上の災害とはならないとされている。

(B)不該当
法3条1項、昭和61年6月30日発労徴41号・基発383号
法3条1項は「労働者を使用する事業を適用事業とする」と規定しており、この「使用する」は労働基準法等における「使用する」と同様労働契約関係にあるという意味に解されており、また、労働基準法上の災害補償責任が派遣元事業主に課される以上、労災保険法と労働基準法との関係を考慮すれば、労災保険法の適用についても同様に取り扱い、派遣元事業主を労災保険の適用事業とすることが適当であるとされている。
よって、派遣労働者については、派遣先の事業主との間で労災保険法の保険関係は成立しない。

(C)該当
法3条1項、昭和61年6月30日発労徴41号・基発383号
移籍型出向の出向労働者については、出向先とのみ労働契約関係があるので、出向先についてのみ労働基準法等の適用があり、出向先の事業主と労災保険の保険関係が成立する。
なお、在籍出向労働者の労災保険の適用については、出向労働者に係る保険関係が、出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行なった契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定することとされている。(昭和35年11月2日基発932号)

(D)該当
法3条1項、労基法9条
1週間の所定労働時間が20時間未満の者でも、事業又は事務所に使用され、賃金を支払われる者であれば労働者に該当する。
よって、労災保険法の適用を受ける。

(E)該当
法3条1項、労基法9条、平成5年10月6日基発592号
技能実習生として就労する外国人は、受入事業場との雇用関係のもとに報酬を受けるために、労働基準法上の労働者に該当する。
よって、労災保険法の適用を受ける。
なお、研修生については出入国管理及び難民認定法上、報酬を受ける活動が禁止されているため一般的に労働基準法上の労働者に該当せず、労災保険の適用を受けることはできない。

  

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