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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成19年労災-第6問(遺族補償給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成19年労災-第6問(遺族補償給付)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるが、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時(1)夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、父母又は祖父母については60歳以上、(2)子又は孫については18歳未満、(3)兄弟姉妹については18歳未満又は60歳以上、(4)上記の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については厚生労働省令で定める障害の状態にある場合に限られる。

(B)遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族について、労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、その子は、将来に向かって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたとみなされ、また、その子が厚生労働省令で定める障害の状態で出生した場合についても、将来に向かって、労働者の死亡の当時厚生労働省令で定める障害の状態にあったものとみなされる。

(C)遺族補償年金又は遺族年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。

(D)遺族補償年金又は遺族年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が、(1)死亡したとき、(2)婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき、(3)6親等内の直系血族又は3親等内の直系姻族の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき、(4)離縁によって死亡労働者との親族関係が終了したとき、(5)子、孫又は兄弟姉妹については年齢要件が消滅したとき(厚生労働省令で定める障害の状態にある場合を除く。)、(6)厚生労働省令で定める障害の状態がなくなったとき(年齢要件を満たす場合を除く。)は、消滅する。

(E)遺族補償一時金又は遺族一時金の支給を受けることができる遺族は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していなかった配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であり、遺族補償一時金又は遺族一時金の支給を受けるべき遺族の順位も、この順序による。



■解説

(A)誤り
法16条の2第1項、法22条の4、法附則43条(昭和40年6月11日法律130号)
遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとされているが、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の要件に該当した場合に限られている。
(1)夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、父母又は祖父母については、55歳以上(60歳まで支給停止)であること。
(2)子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。
(3)兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は55歳以上(60歳まで支給停止)であること。
(4)上記の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。
よって、「子、孫、兄弟姉妹」についての要件を18歳未満とした点、「夫、父母、祖父母、兄弟姉妹」についての要件を60歳以上とした点から問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法16条の2第2項、法22条の4
遺族(補償)年金の支給を受けることができる遺族について、労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなすことになっている。
しかしながら、「その子が厚生労働省令で定める障害の状態で出生した場合についても、将来に向かって、労働者の死亡の当時厚生労働省令で定める障害の状態にあったものとみなされる。」という規定は存在しない。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)正解
則15条、則18条の9
遺族(補償)年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態とは、身体に障害等級の第5級以上に該当する障害がある状態又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態とされている。
よって、問題文は正解である。
なお、労働の高度の制限とは、完全な労働不能で長期間にわたる高度の安静と常時の監視又は介護を要するものよりも軽いが、労働の著しい制限よりは重く、長期間にわたり中等度の安静を要することをいう。 (昭和41年1月31日基発73号 )

(D)誤り
法16条の4第1項、則22条の4
遺族(補償)年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次のいずれかに該当したときは消滅することになっている。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族(補償)年金が支給されることとなる。
(1)死亡したとき
(2)婚姻(事実婚を含む)をしたとき。
(3)直系血族又は直系姻族以外の者の養子(事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む)となったとき。
(4)離縁によって、死亡した労働者との親族関係が終了したとき。
(5)子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く)。
(6)厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったとき(年齢要件を満たしているときを除く)。
よって、問題文に記述されている要件のうち「6親等内の直系血族又は3親等内の直系姻族の養子」となった場合でも、遺族(補償)年金の受給権は失権しないため、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法16条の7第1項、法22条の4
遺族(補償)一時金を受けることができる遺族の範囲は次のとおりであり、受けるべき遺族の順位は、次の(1)、(2)、(3)の順序により、(2)及び(3)に掲げる者のうちにあっては、それぞれ(2)及び(3)に掲げる順序によるものとされている。
(1)配偶者
(2)労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
(3)上記(2)に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
よって、遺族(補償)一時金を受けることができる遺族の範囲には、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた者も含まれており、「生計を維持していなかった遺族」とした問題文は誤りである。
なお、「配偶者」、「兄弟姉妹」については死亡時の生計維持関係を問わず、それぞれ最先順位、最後順位となる。

  

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