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トップページ > 過去問研究室(労災保険法)> 平成26年労災-第3問(業務災害の給付制限) | |||||
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業務災害の保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (A)業務遂行中の災害であっても、労働者が故意に自らの負傷を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。 (B)業務遂行中の災害であっても、労働者が過失により自らの死亡を生じさせた場合は、その過失が重大なものではないとしても、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。 (C)業務起因性の認められる負傷であっても、被災した労働者が正当な理由なく療養に関する指示に従わないことにより負傷の回復を妨げた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。 (D)業務遂行性が認められる災害であっても、労働者が故意の犯罪行為により自らの死亡を生じさせた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。 (E)業務遂行性が認められる災害であっても、労働者が故意に自らの死亡の直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。
(A)正解 法12条の2の2第1項 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わないことになっている。 よって、問題文は正解となる。 なお、一般に「故意」とは、自分の行為が一定の結果を生ずべきことを認識し、かつ、この結果を生ずることを認容することをいう。ただし、被災労働者が結果の発生を認容していても業務との因果関係が認められる事故については支給制限の適用はない。また、保険給付を行わないとしているのは、業務又は通勤と事故との因果関係が故意によって中断されるからである。 (B)誤り 法12条の2の2第2項 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができることになっている。 よって、「労働者が過失により自らの死亡を生じさせた場合」であっても重大な過失でない場合は支給制限の対象とならないため、問題文は誤りとなる。 (C)正解 法12条の2の2第2項 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができることになっている。 よって、問題文は正解となる。 なお、正当な理由があるとは、そのような理由があれば誰しもが療養の指示に従わなかったであろうと認められる場合である。正当性の有無についての労働者の単なる主観的事情は含まないと解されている。この規定の適用に当っては、労働者の療養指導に重点を置き、特に慎重を期することとされている。 (D)正解 法12条の2の2第2項 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができることになっている。 よって、問題文は正解となる。 なお、故意の犯罪行為とは、事故の発生を意図した故意はないが、その原因となる犯罪行為が故意によるものであるとされている。また、故意の犯罪行為若しくは重大な過失を支給制限事由としたのは、労働者としての注意を著しく欠いた場合を予定したものであり、故意の犯罪行為若しくは重大な過失に当るものとして保険給付の支給制限の対象とするのは、事故発生の直接の原因となった行為が、法令(労基法、鉱山保安法、道路交通法等)上の危害防止に関する規定で罰則の付されているものに違反すると認められる場合であるとして行政上取扱われている。 (E)正解 法12条の2の2第1項 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わないことになっている。 よって、問題文は正解となる。 |
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