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トップページ社会保険労務士の勉強メモ 日雇特例被保険者に関する特例  
■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法)




■日雇特例被保険者

1.原則
日雇特例被保険者とは、適用事業所に使用される日雇労働者をいう。(法第3条第2項)

2.例外
次のいずれかに該当する者として社会保険庁長官の承認を受けたものは、日雇特例被保険者にならないことができる。(法第3条第2項但書)

(1)適用事業所において、引き続く2月間に通算して26日以上使用される見込みのないことが明らかであるとき
(2)任意継続被保険者であるとき
(3)その他特別の理由があるとき

(参考)
特別な理由に該当する例示
1.農業、漁業、商業等他に本業を有する者が臨時に日雇労働者として使用される場合
2.昼間学生が夏季休暇期間中等に日雇労働者として使用される場合
(昭和34年7月7日保発第58号)

■日雇労働者

1.原則
日労働者とは、次のいずれかに該当する者をいう。(法第3条第8項)

(1)臨時に使用される者で日々雇い入れられる者
(2)臨時に使用される者で2月以内の期間を定めて使用される者
(3)季節的業務に使用される者
(4)臨時的事業の事業所に使用される者

2.例外
上記1の場合であっても、次に該当する場合は日雇労働者にならない。(法第3条第8項)
※一般被保険者になる

(1)臨時に使用される者で日々雇い入れられる者
同一の事業所において、1月を超え、引き続き使用されるに至った場合

(2)臨時に使用される者で2月以内の期間を定めて使用される者
同一の事業所において、所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合

(3)季節的業務に使用される者
継続して4月を超えて使用されるべき場合は当初から一般被保険者になる

(4)臨時的事業の事業所に使用される者
継続して6月を超えて使用されるべき場合は当初から一般被保険者になる

3.参考規定
(1)臨時に使用される者で日々雇い入れられる者が1月を超え、臨時に使用される者で2月以内の期間を定めて使用される者が所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合であっても、所在地の一定しない事業所において引き続き使用されるに至った場合は、一般被保険者とはならない。(法第3条第8項)

(2)季節的業務とは?
一地方特有のものであるか全国的のものであるかを問わずいやしくも季節によりなす業務はすべて包合する。(昭和2年2月12日収保第124号)

(3)当初4月未満使用されるべき予定であったが、業務の都合等により継続して4月以上使用されることになった場合においても被保険者とならない。(昭和9年4月17日保発第191号)

(4)臨時的事業の事業所とは?
博覧会の如き臨時的に開設される事業の事業所をいう。(昭和18年4月5日保発第905号)

■日雇特例被保険者の被扶養者

被扶養者の認定に関しては一般被保険者と同様。

参考
被扶養者の認定

■日雇特例被保険者の保険の保険者

1.保険者
日雇特例被保険者の保険の保険者は、政府とする。(法第123条第1項)

2.事務担当
(1)日雇特例被保険者の保険の保険者の事務は、社会保険庁長官が行う。(法第123条第2項)

(2)日雇特例被保険者の保険の保険者の事務の一部は、市町村長が行うこととすることができる。(法第203条)

■標準賃金日額

1.賃金とは?
この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、日雇労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。(法第3条第9項)

※報酬の定義(法第3条第5項)と異なり、「臨時に受けるもの」も賃金に含まれる。

2.標準賃金日額
(1)標準賃金日額は、日雇特例被保険者の賃金日額に基づき、次の等級区分(下記(2)の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)による。(法第124条第1項)

(等級区分)
等級 標準賃金日額 賃金日額
1 1,334円 1,500円未満
2 2,000円 1,500円以上2,500円未満
3 3,000円 2,500円以上3,500円未満
4 4,400円 3,500円以上5,000円未満
5 5,750円 5,000円以上6,500円未満
6 7,250円 6,500円以上8,000円未満
7 8,750円 8,000円以上9,500円未満
8 10,750円 9,500円以上12,000円未満
9 13,250円 12,000円以上14,500円未満
10 15,750円 14,500円以上17,000円未満
11 18,250円 17,000円以上19,500円未満
12 21,250円 19,500円以上23,000円未満
13 24,750円 23,000円以上

(2)一の年度における標準賃金日額等級の最高等級に対応する標準賃金日額に係る保険料の延べ納付日数の当該年度における日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数に占める割合が100分の3を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、翌年度の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準賃金日額の等級区分の改定を行うことができる。
ただし、当該一の年度において、改定後の標準賃金日額等級の最高等級に対応する標準賃金日額に係る保険料の延べ納付日数の日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数に占める割合が100分の1を下回ってはならない。(法第124条第2項)

(3)厚生労働大臣は、上記(2)の政令の制定又は改正について立案を行う場合には、社会保障審議会の意見を聴くものとする。(法第124条第3項)

3.賃金日額の算定
(1)賃金が日又は時間によって定められる場合、1日における出来高によって定められる場合その他日雇特例被保険者が使用された日の賃金を算出することができる場合には、その額 (法第125条第1項第1号)

(2)賃金が2日以上の期間における出来高によって定められる場合その他日雇特例被保険者が使用された日の賃金を算出することができない場合(下記(3)に該当する場合を除く。)には、当該事業所において同様の業務に従事し同様の賃金を受ける者のその前日(その前日において同様の業務に従事し同様の賃金を受ける者がなかったときは、これに該当する者のあったその直近の日)における賃金日額の平均額(法第125条第1項第2号)

(3)賃金が2日以上の期間によって定められる場合には、その額をその期間の総日数(月の場合は、1月を30日として計算する。)で除して得た額(法第125条第1項第3号)

(4)上記(1)から(3)の規定により算定することができないものについては、その地方において同様の業務に従事し同様の賃金を受ける者が1日において受ける賃金の額(法第125条第1項第4号)

(5)上記(1)から(4)のうち2以上に該当する賃金を受ける場合には、それぞれの賃金につき、上記(1)から(4)によって算定した額の合算額(法第125条第1項第5号)

(6)1日において2以上の事業所に使用される場合には、初めに使用される事業所から受ける賃金につき、算定した額(法第125条第1項第6号)

(7)賃金のうち通貨以外のもので支払われるものについては、その価額は、その地方の時価により、社会保険庁長官が定める。(法第125条第2項)

■日雇特例被保険者手帳

1.要旨
(1)日雇労働者は、日雇特例被保険者となったときは、日雇特例被保険者となった日から起算して5日以内に、保険者に日雇特例被保険者手帳の交付を申請しなければならない。(法第125条第1項)

(2)既に日雇特例被保険者手帳の交付を受け、これを所持している場合において、その日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白があるときは、改めて交付申請をする必要はない。(法第125条第1項但書)

(3)保険者は、上記(1)の申請があったときは、日雇特例被保険者手帳を交付しなければならない。(法第125条第2項)

(4)日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者は、その日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白の残存する期間内において日雇特例被保険者となる見込みのないことが明らかになったとき、又は社会保険庁長官による適用除外の承認を受けたときは、保険者に日雇特例被保険者手帳を返納しなければならない。(法第125条第3項)

2.日雇特例被保険者手帳の交付申請
法律上の義務であり、申請しなかった場合、虚偽の申請をした場合は罰則の対象となる。

※交付申請義務は、事業主でなく日雇特例被保険者になった者である。

3.保険者
法律上は政府であるが、日雇特例被保険者手帳の交付事務は、日雇特例被保険者の住所地又は居住地の地方社会保険事務局長及び指定市町村長に事務委任されている。

4.被扶養者の届出
(1)日雇特例被保険者は、被扶養者を有するときは日雇特例被保険者手帳の交付の申請を行う際同時に、日雇特例被保険者手帳の交付を受けた後に被扶養者を有するに至ったときはそのときから5日以内に被扶養者届を社会保険事務所長等又は指定市町村長に提出しなければならない。(施行規則第120条第1項)

(2)日雇特例被保険者は、被扶養者に関する事項に変更があったときは、その都度、その旨を社会保険事務所長等又は指定市町村長に届け出なければならない。 (施行規則第120条第2項)

■保険給付

■療養の給付
1.受給要件
日雇特例被保険者が療養の給付を受けるには、これを受ける日において次のいずれかに該当していなければならない。(法第129条第2項)

(1)保険給付を受ける日の属する月の前2月間に通算して26日分以上又は保険給付を受ける日の属する月の前6月間に通算して78日分以上の保険料を納付していること。

(2)上記(1)により日雇特例被保険者として医療給付を受けた疾病又は負傷(その原因となった疾病又は負傷も含む)について医療給付の受給開始後1年間(結核性疾患については5年間)を経過していないこと。

(参考)
1.医療給付とは、日雇特例被保険者としての療養の給付、特別療養費の支給、老人保健法による医療等、介護保険法による居宅介護サービス費等の支給のことをいう。

2.医療給付の受給開始後1年(5年)を経過した場合でも、保険料納付要件を満たしていれば、療養の給付の支給をうけることができる。

2.療養の給付を受けるための手続き
(1)日雇特例被保険者は、保険者(社会保険事務所長や市区町村長等)に「前2月間に通算して26日分以上又は前6月間に通算して78日分以上」の保険料納付要件を満たしていることを日雇特例被保険者手帳によって証明して申請しする。(法第129条第3項)

(2)保険者は、上記(1)の保険料納付要件を確認したことを表示した受給資格者票を発行しなければならない。又は既に発行した受給資格者票にこれを確認したことを表示しなければならない。(法第129条第3項)

(3)日雇特例被保険者は、受給資格者票を自らが選定する保険医療機関等の窓口に提出して療養の給付を受ける。(法第129条第4項)

※療養の給付は、日雇特例被保険者手帳を保険医療機関等の窓口に提示することによって受けることはできない。必ず「受給資格者票」を提示する必要がある。

3.療養の給付の内容
一般被保険者の場合と同様である。

※70歳以上の被保険者等の一部負担金等は100分の10である。(日雇特例被保険者等については標準報酬月額を有さないために、100分の20負担とならない)

参考
療養の給付の支給要件
一部負担金の解説


■入院時食事療養費(法第130条)
1.受給要件
療養の給付の場合と同様

2.入院時食事療養費を受けるための手続き
療養の給付の場合と同様

3.入院時食事療養費の内容
一般被保険者の場合と同様である。

参考
入院時食事療養費の支給要件


■特定療養費(法第131条)
1.受給要件
療養の給付の場合と同様

2.特定療養費を受けるための手続き
療養の給付の場合と同様

3.特定療養費の内容
一般被保険者の場合と同様である。

参考
特定療養費の支給要件


■療養費(法第132条)
1.受給要件
療養の給付の場合と同様

2.療養費を受けるための手続き
療養の給付の場合と同様

3.療養費の内容
一般被保険者の場合と同様である。

参考
療養費の支給が認められる場合


■訪問看護療養費(法第133条)
1.受給要件
療養の給付の場合と同様

2.訪問看護療養費を受けるための手続き
療養の給付の場合と同様

3.訪問看護療養費の内容
一般被保険者の場合と同様である。

参考
訪問看護療養費の支給要件


■移送費(法第134条)
1.受給要件
日雇特例被保険者が療養の給付(特定療養費及び特別療養費を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、移送費が支給される。

2.移送費の内容
一般被保険者の場合と同様である。

参考
移送費の支給要件


■傷病手当金
1.支給要件(法第135条第1項)
(1)日雇特例被保険者が療養の給付(特定療養費、療養費及び訪問看護療養費の支給並びに老人保健法の規定による医療並びに特定療養費、医療費及び老人訪問看護療養費の支給並びに介護保険法 の規定による居宅介護サービス費、居宅支援サービス費、特例居宅介護サービス費、特例居宅支援サービス費、施設介護サービス費及び特例施設介護サービス費の支給を含む。)を受けていること

(2)その療養のため労務に服することができないこと

(3)その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した待期期間が完成していること

(参考)
1.健康保険法第3条第2項に規定する被保険者に対する傷病手当金の支給に当たっては、労務不能となった際にその原因となった傷病について療養の給付を受けていることで足り、労務不能期間において当該傷病につき療養の給付を受けていることを要しないこととしたこと。
これに伴い、「日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律の施行について」(昭和33年5月28日保発第35号)傷病手当金に関する事項の1を削除すること。(平成15年2月25日保発第0225001号・庁保発第1号)

2.日雇特例被保険者が第三者行為によって負傷した後、直ちに加害者から治療費の支払いを受けたため、保険による療養の給付を受けなかった場合は「療養の給付を受けている場合」に該当しないため傷病手当金は支給されない。(昭和34年4月18日保文発第2944号)

※自費診療や自宅療養で「療養の給付等」を受けない場合も同様に傷病手当金は支給されない。

2.傷病手当金の額(法第135条第2項)
傷病手当金の額は、1日につき、次の金額とする。ただし、いずれにも該当するときは、いずれか高い金額とする。

(1)初めて当該療養の給付を受けた日の属する月の前2月間に通算して26日分以上の保険料が納付されている場合
保険料が納付された日の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの50分の1に相当する金額

(2)初めて当該療養の給付を受けた日の属する月の前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されている場合
保険料が納付された日の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの50分の1に相当する金額

3.傷病手当金の支給期間(法第135条第3項)
日雇特例被保険者に係る傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して6月(結核性疾患に関しては、1年6月)を超えないものとする。

4.傷病手当金の請求手続
(1)日雇特例被保険者は、雇用保険法の規定による給付を受けることができる期間について傷病手当金の支給の申請をしようとするときは、失業の認定を受けていないことを明らかにし、また、その者が同法第43条に規定する日雇労働被保険者であるときは、労働保険の保険料の納付が行われていないことを証明することができる日雇労働被保険者手帳その他の文書を傷病手当金の支給申請書に添えなければならない。(施行規則第125条第1項)

(2)傷病手当金請求書には、日雇特例被保険者手帳(日雇特例被保険者が指定地域に住所又は居所を有する場合においては、当該指定市町村長が交付する受給要件を備えることを証明する文書)を添えなければならない。 (施行規則第125条第2項)


■埋葬料
1.支給要件(法第136条第1項)
日雇特例被保険者が死亡した場合において、次のいずれかに該当したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料を支給する。

(1)死亡の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上納付されているか、前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されているとき

(2)死亡の際に療養の給付、特定療養費、療養費、訪問看護療養費の支給を受けていたとき

(3)療養の給付、特定療養費、療養費、訪問看護療養費の支給を受けなくなった日後3月以内に死亡したとき

2.埋葬料の支給額(法第136条第2項)
(1)死亡の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上の保険料が納付されている場合
保険料が納付された日の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものに相当する金額(その金額が10万円に満たないときは、10万円)

(2)死亡の日の属する月の前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されている場合
保険料が納付された日の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものに相当する金額(その金額が10万円に満たないときは、10万円)

(3)保険料納付要件を満たしていない場合
10万円

3.埋葬料の支給を受けるべきものがいない場合(法第136条第3項)
埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、埋葬料の額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。


■出産育児一時金(法第137条)
1.支給要件
日雇特例被保険者が出産した場合において、その出産の日の属する月の前4月間に通算して26日分以上の保険料が納付されていること

※前4月間に通算して26日分以上
出産前には就労が困難となる場合が多いので、出産育児一時金については支給要件が緩和されている。

2.出産育児一時金の支給額
一児につき30万円


■出産手当金
1.支給要件(法第138条第1項)
出産育児一時金の支給を受けることができる日雇特例被保険者であること

2.出産手当金の支給期間(法第138条第1項)
出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間

3.出産手当金の支給額(法第138条第2項)
1日につき、出産の日の属する月の前4月間の保険料が納付された日の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの50分の1に相当する金額

4.出産手当金と傷病手当金の調整(法第139条)
日雇特例被保険者に対し出産手当金を支給する場合においては、その期間、その者に対し、傷病手当金は、支給しない。
ただし、傷病手当金の額が出産手当金の額を超えるときは、その超える部分については、傷病手当金が差額支給される。

※傷病手当金の日額と出産手当金の日額の計算方法が異なるため差額支給に規定が設けられている。


■家族に対する保険給付
1.家族療養費(法第140条)
日雇特例被保険者の被扶養者が保険医療機関等で療養等を受けた場合は、日雇特例被保険者に対し、療養の給付、入院時食事療養費、特定療養費、療養費と同様の給付が家族療養費として支給される。
なお、支給要件及び受給手続も同様である。

2.家族訪問看護療養費(法第141条)
日雇特例被保険者の被扶養者が指定訪問看護を受けた場合は、日雇特例被保険者に対し、訪問看護療養費と同様の家族訪問看護療養費が支給される。
なお、支給要件及び受給手続も同様である。

3.家族移送費(法第142条)
日雇特例被保険者の被扶養者が家族療養費に係る療養(特別療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、日雇特例被保険者に対し、移送費と同様の家族移送費が支給される。
なお、支給要件及び受給手続も同様である。

4.家族埋葬料
(1)要旨(法第143条第1項)
日雇特例被保険者の被扶養者が死亡したときは、日雇特例被保険者に対し、家族埋葬料を支給する。

(2)支給要件(法第143条第2項)
死亡の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上又は前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されていること。

(3)支給金額(法第143条第3項)
10万円

5.家族出産育児一時金
(1)要旨(法第144条第1項)
日雇特例被保険者の被扶養者が出産したときは、日雇特例被保険者に対し、家族出産育児一時金を支給する。

(2)支給要件(法第144条第2項)
出産の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上又は前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されていること。

(3)支給金額(法第144条第3項)
30万円


■特別療養費
1.要旨(法第145条第1項)
初めて日雇特例被保険者になった場合は、療養の給付等を受けるために必要な保険料納付要件を満たすことができず、保険給付を受けることができない。
よって、このような事態を解消し、医療の給付を受けることができるように特別療養費制度が設けられている。
特別療養費は、支給対象者に対し、特別療養費受給票を交付し、日雇特例被保険者が、その特別療養費受給票を保険医療機関等や指定訪問看護事業者に提出して、そのものから、療養又は指定訪問看護を受けた場合に、日雇特例被保険者に対し、その療養又は指定訪問看護に要した費用について、特別療養費を支給するしくみとなっている。
なお、療養の給付等、老人保健法による医療等、介護保険法による居宅介護サービス等を受けることができるようになれば特別療養費は支給されなくなる。

2.支給対象者(法第145条第1項)
次のいずれかに該当する日雇特例被保険者又はその被扶養者でその該当するに至った日の属する月の初日から起算して3月(月の初日に該当するに至った者については、2月。)を経過しないもの

(1)初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

(2)1月間若しくは継続する2月間に通算して26日分以上又は継続する3月ないし6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されるに至った月において日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白がなくなった後、初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

(3)1月間若しくは継続する2月間に通算して26日分以上又は継続する3月ないし6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されるに至った月の翌月中に(日雇特例被保険者となる見込みがない場合等により)日雇特例被保険者手帳を返納した後、初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

(4)前に交付を受けた日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白がなくなった日から起算して1年以上を経過した後に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

(5)(日雇特例被保険者となる見込みがない場合等により)日雇特例被保険者手帳を返納した日から起算して1年以上を経過した後に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

3.特別療養費の支給額
(1)原則(法第145条第2項)
特別療養費の額は、保険医療機関等から受けた療養については第1号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは、当該額及び第2号に掲げる額の合算額)とし、指定訪問看護事業者から受けた指定訪問看護については第3号に掲げる額とする。

1.療養(食事療養を除く。)につき算定された費用の額の100分の70に相当する額
2.食事療養につき算定された費用の額から標準負担額を控除した額
3.指定訪問看護につき算定された費用の額の100分の70に相当する額

(2)療養又は指定訪問看護を受ける者が3歳に達する日の属する月以前の場合(法第145条第3項)
上記(1)原則の第1号及び第3号の規定のうち「100分の70」を「100分の80」に読み替える。

(3)療養又は指定訪問看護を受ける者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(法第145条第3項及び第4項)
上記(1)原則の第1号及び第3号の規定のうち「100分の70」を「100分の90」に読み替える。

4.特別療養費受給票の交付
特別療養費受給票は、支給対象者の要件に該当する日雇特例被保険者で、その該当するに至った日の属する月の初日から起算して3月を経過していないものの申請により、保険者が交付する。(法第145条第6項)

5.その他
特別療養費の支給は、日雇特例被保険者が社会保険庁長官の承認を受けたときは、その承認により日雇特例被保険者とならないこととなった日以後、日雇特例被保険者が日雇特例被保険者となる見込みがない場合等によって日雇特例被保険者手帳を返納したときは、返納の日の翌日以後は、行わない。(法第146条)


■高額療養費(法第148条)
日雇特例被保険者に対する高額療養費の趣旨、支給要件、支給金額等は、一般被保険者に対する高額療養費と同様である。

※特別療養費に対する自己負担額についても高額療養費の対象になる。

参考
高額療養費の支給要件


■他の医療保険制度との調整
1.日雇特例被保険者に係る保険給付は、同一の疾病、負傷、死亡又は出産について、一般の被保険者に対する保険給付、この法律以外の医療保険各法(国民健康保険法を除く。)の規定若しくは労働者災害補償保険法等の規定又は介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。(法第128条)

2.日雇特例被保険者(又はその被扶養者)が老人保健法による医療等を受けることができる場合は、療養の給付、入院時食事療養費、特定療養費、(家族)療養費、(家族)訪問看護療養費、(家族)移送費、特別療養費の支給は行わない。(法第129条第7項、準用)

  

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